『 処刑山 デッドスノウ 』 ( 2007・諾 )

処刑山 デッドスノウ [DVD] ◆ 処刑山 デッドスノウ [DVD] ( 2007年・ノルウェー )  監督: トミー・ウィルコラ  出演:ヴェガール・ホール、ラッシー・ヴァルダル、ヤップ・ベック・ラウセン 他  評価…★★★☆☆ <あらすじ> 男4人、女4人の医学生グループが休暇を利用して雪山を訪れる。グループの1人ベルガーの恋人であるサラの家が持っている山小屋に皆で泊まる計画なのだが、サラは運動好きのサラはスキーで山道を来ることにしたため別行動だった。山小屋に着いた7人はスノースポーツを楽しんだ後、酒を飲んで騒ぎ始めるが、サラと仲の良いハナは彼女の到着が遅いのが気になっていた。そこで、周囲の様子を伺っていると戸口に突然不審な中年男が現れる。 半ば強引に山小屋内に入ってきた彼は、傍若無人な態度で、どうも彼らがここにいることに不満があるらしい。そして、唐突にこの雪山周辺の呪われた歴史を話し始める。第2次世界大戦中にナチス兵団の暴虐に耐えかねた地元の住民たちが、武器を持って立ち上がり、深夜に兵団の駐留地を襲い、彼らを全員惨殺したというのだ。数の上では圧倒的に勝る住民たちの怒りにまかせた反撃は虐殺とも言えるものだった。そして、それ以後この土地には悲惨な事件が起こるというのだ。それは地獄から蘇ったナチス兵のせいだと。 凄惨な過去はともかく、死者が蘇るという突拍子もない話を彼らは一生に付すが、男は真剣で、彼らを強烈に脅しつけて去っていく。その剣幕とサラがなかなか到着しないことにベルガーも不吉な感じを抱きはじめ、ハナは更に不安を募らせる。そして、そのうちにメンバーのひとりが行方不明になる。さっきの男のせいか、それとも男の話は真実だったのか…?  答えはほどなく明らかになる。明らかにナチス兵の格好をした連中が襲ってきたのだ。しかも、どう見ても彼らは生きた人間ではない。行方不明になっていたクリスは彼らに食い殺されていたのだ。そして、さらにメンバーに襲いかかるゾンビともなんともつかない化け物に彼らは必死で応戦する。 同じころサラを探しに行っていたベルガーも怪物たちに出くわしていた。 多勢に無勢、しかも相手は冷凍保存されていたとはいえ兵士だ。しかし、知力・体力ともに優れた医学生たちは腹を据えると意外に負けていなかった。武器をつくったり、自然を利用したり、時には自分の傷口を自らの手で縫うことまでして闘い続ける。  ナチスゾンビVS医学生の時代を超えた血みどろの死闘のゆくえは!?
DVDのパッケージに 「 各国のホラー・ファンの間では 「 ここ数年で最高の超流血映画 」と絶賛され、大ヒット! 」 「 ナチス・ゾムビと医学生の大殺戮バトルを描いたスーパーゴア! 」( 何故かは知らないけれども、本作では「ゾンビ 」でなく「 ゾムビ 」らしいです ) てなことが書いてあり、監督も評判がいい人らしいので、ノルディック・ホラーという点にちょっと不安を感じつつも借りてみました。まぁ、以前見たノルウェー作品も作品全体の出来としてはほどほどだったけど、確かに残酷描写とかは悪くなかったし。 で、感想は、うーん……悪くはない。悪くはないし、面白いことは面白いんだけど、何か違う。 まぁ、ゴア描写はそこそこだけど、人間よりゾムビもどきの血糊だの臓物だのの方が多いような……。 そして、何よりもこれ、怖いというよりは笑えるんだけど(*_*) ……と思って後で確認したら、監督の評価として言われているのは 「 『 死霊のはらわたサム・ライミ、 『 ブレイン・デッド 』 ピーター・ジャクソンの再来と噂される新鋭 」 なのね。 ああ、なるほど。じゃあ、これで正しいんだと思いました(^_^;) 笑えるゾンビホラーの系譜なんだね。ゾンビが本来の定義から色々と逸脱しているところもしっかり踏襲されていますし、そういう意味でならこれは有望( 笑 ) まぁ、その例示されてる2作に比べるとかなりパワーは落ちるし、突っ込みどころもかなりあるんだけど、妙にお国柄を生かした感じの作品なのが面白いんだよね。 ※以下ネタバレ有り※ ゾンビ系の映画って、舞台をどこに移しても成立するって感じのものがほとんどで、ちょっと変わった場所 ( 飛行機とか森林とかリゾート地とか… )が舞台となっている場合でも、それは差別化するためだけのもので、その特殊性同士を入れ替えても構わないようなものが多いんだけど、本作ではまずゾンビ、もといゾムビ( 笑 )が雪山じゃないと発生しえないんだよね。 だって、ナチス兵団だよ?  幽霊ならともかく普通の土地で肉体が現在まで残ってるわけないでしょ? まぁ、雪山であってもちょっとムリがあるんじゃないかとは思うんですけれども、そのくらいは大目に見ましょう(^_^;)  でも、いくら低温保存されていたとしても血や臓物がフレッシュ過ぎるのだけは、見ていてちょっと気になりましたが、まぁ、そこはリアリティよりゴア優先ですわね。 って、今書いていて、ゾンビにおけるリアリティってのは何だよと自分で思ったけど f^_^;) そもそも、このナチス兵ってみんな襲撃によって殺されたんだから、最初から身体や衣服、装備等に損傷とか欠損があるなはずなんだけどなぁとか、思って見てたけど、作中でもいったんやられても蘇ってきてたりしてたから、もしかしたら、損傷が回復するのかもしれないな。私がマジメに見てなかったから気付かなかったのかもしれないけど、もしかしたら、あの財宝に何か秘密があったりするのかな。そんなわきゃあねぇと思うけど。つーか、あの財宝とナチスの関係すら見ていてよくわからんかったぞ。 とにかく、このナチス兵ゾムビはいわゆるゾンビとは何か色々違うみたいなんだけど、学生さんたちはゾンビに対するように行動しているのね。噛まれたら感染るという前提で、噛まれないように注意して行動するとか。噛まれたマルティンは自分の腕を切り落としたりしてたけど、追い詰められて自分がゾムビを噛んだベイカーは何ともなってなかったから、やっぱり伝染しないんじゃないかなぁ。まぁ、最終的にはどっちも死んだので真相は明らかじゃないが。 前半はやけにテンポが悪いんだけど、ノルウェーならでは感がそこかしこにあって、それはそれで面白かったですね。 まず、寒い国の若者の娯楽はやっぱりスノースポーツなんだなぁとか、寒くて露出が少ないからなかなか乱れた雰囲気にはならないなぁとか^^;  まぁ、それでも凄い寒い中( 屋外の離れにあるトイレで! )、唐突に女子が半裸になってコトに及ぶシーンとかがあったりはするんですけど、やっぱり全体的に圧倒的に色気が足りない。そして、そのせいなのか、別の理由なのか知らないけれども、最近のホラーのお約束を裏切って女性陣が凄い勢いでやられていって、男子は3人生き残ってるのに女子は全滅とかいうひどい展開になったりするし。あ、もちろん最終的には全員死ぬんですけどね。 その他細かい点では、私は大変恥ずかしながらノルウェーに徴兵制があるというのを知りませんで、冒頭の会話にちょっと驚きました。みんな大学生にしちゃ老けてるなと思ったけど、それは徴兵制で進学が遅れたせいからかなとか。にしても、マルティンが20歳前にはとても見えないのだが…。てゆーか、30歳前にも見えんぞ。 あと、大量のナチス兵ゾムビが出てきた際に、ふつうなら死にフラグ真っ先に立ってるはずのキャラなのに何故かラスト近くまで生き残ったお調子者男子が 「 海に行けばよかった… 」 というのにちょっと笑った^^; 真冬の極寒の海に何しに行くんだよ( 笑 ) いや、現地では何か娯楽があるのかもしれないけどね。 それと、最後で噛まれたマルティンが腕を切ろうとするのを友人が止めて、「 大丈夫、俺たちはユダヤの血が入ってるから仲間にされないよ 」 ってのも、他では見られないやりとりだなと思って面白かった^^; それと、内容には全然関係ないけど、折しも今シーズンの日本ではノルディック柄が大流行なので、学生さんたちのファッションを見て、おお、本場のノルディック柄! やっぱり、みんな自然に着こなしててかわいいなぁとかそういうところでもちょっと楽しめました(^_^;) とにかく見所はやたらに大量に出てくるナチス兵ゾムビですね(^_^;) 動きも頭も鈍めだけど、隊長( 正確な階級呼称がわかりません… )のもと、統率の取れた動きをとる大量のゾムビは見てて楽しいです。  ゴアシーンは前述したとおり、さほどでもないと思うけれども、特徴は最近では珍しくはらわた推しな感じなところですかね。 生死者ともども皆やたらに大腸の類をあふれ出させて死んでました。お調子ものくんの最期のはらわた使い( 何だ、それ^^; まぁ、利用法というかあしらいというかそういう系統の意味ねf^_^; ) はなかなかヒット。 それにしても、この邦題は何なんだろうって感じですよね(-"-;) 一体原題はどんなだったんだろう? でも、ノルウェー語わからんしなぁ…… と思って、見てみたら、原題は邦題のサブタイトルそのままで 『 DEAD SNOW 』 なんでね。ノルウェー語だと綴りがちょっと違いますが。 原題がそれなら、まぁ、あの邦題でもいいかなぁ…(-_-;) ( 12月1日鑑賞 )