『 高瀬川女船歌 』 澤田 ふじ子

高瀬川女船歌 (中公文庫)

◆ 高瀬川女船歌  澤田 ふじ子 ( 中公文庫 ) \600

 評価…★★☆☆☆

<作品紹介>

17歳のお鶴は、京都・高瀬川沿いの旅篭 「 柏屋 」 の養女になって8年。尾張藩の京詰め武士だった父親は公金横領の濡れ衣を着せられて逐電し、高瀬船の女船頭だった母親は桂川で不審な死を遂げていた。一方、高瀬川に架かる四条小橋の庚申堂に、息を潜めて暮らす一人の男が― 。

荷船や客船で賑わう高瀬川に集う人々の哀歓を描くシリーズ第1作。 ( 文庫裏表紙紹介文 )


最近時代小説が読みたくて仕方がなく、何度となく読み返した手持ちの作品をまた一通り再読して禁断症状に苦しみかけていた折、書店で見かけた本作の、何でだかシリーズ5作を毎月連続で刊行! というのと、京都高瀬川沿いの旅籠という舞台の目新しさに興味をひかれて、とりあえずお試しで1作目を購入してみました(^-^)

で、女船頭をはじめとした高瀬川独特の風習などが描かれている部分は、初めて知ることも多く、非常に興味深く面白く読んだし、連作であるそれぞれの筋はそこそこ楽しめたのですが、この登場人物の魅力の無さはなんなんでしょう???(*_*)

ページ数の割にはかなりの数の登場人物がいて、それも皆さんなかなかに個性ある設定だったりするのですが、そのほとんどの人物の言動とか考え方とかにどうも共感できないのですね。最近の宇江佐作品の主人公などに共感できないのとはまた違う感じ。あれらは何だか気持ち悪いとか何でそんな発想 ? 、何でそんな言動 ? とかいう嫌悪感や反発を感じさせるのと、いやいや、その時代にそういう言動はないんじゃないの ? とかいう不自然さによるもので、逆に言えば嫌悪感を感じさせるぐらいにキャラは立ってるわけです。

しかし、本作の場合には何か人間らしくない感じで、読んでいて全然感情移入ができないのですな。不自然というほどでもないんだけど、何だか納得できない感じのリアリティの無さなのですね。

だから、話の筋とか道具立ては面白いと思っても、結果としては何となく不満が残ってしまう。 …ので、評価はちょっと厳しめの★2つなわけです。

一応シリーズとしては、お鶴を中心に話が進んでいくのかなって感じなんだけど、このお鶴の人間的魅力の無さがちょっと瞠目です。いや、もちろん好き好きはあると思うんですけど、私には自己中心的で、しかも主張が強く、気遣いに欠ける嫌な女にしか見えないんですね。作中ではとてもいい人のように書かれているのですけれども。 いや、それは私が性格が悪いせいかもしれませんけれども(-_-;)

そう、そして、みんなが妙にいい人なのも何か納得できない。

いや、時代小説って、結構そういうところあって、えっ、なんでみんなそんなにいい人なの?って思うことがままあるんですけど、これは何か不自然というか、極端な言い方をすれば不快に感じるいい人さなんですよ。 何でなんだろうなぁ。 人がいいとか親切だとかいうのとはちょっと違った押し付けがましさとか、やり過ぎ感を感じるからかしら。

あ、でも、わずかに出てくる嫌な人とか、普通の人や本来いい人が何らかの理由でする不快な言動とかは、何かこの上もなく嫌な感じがしますね。 うーん、やっぱり性が合わないのかなぁ(-"-;)  つまり、作品でなく私の側の問題? 何か最近そういうの多いような気が……(*_*) 

それと、これはほんとに個人の好みの問題なんですけれども、私、関西弁の時代小説ってどうも好きになれないんですよね…。しっくりこないのはそれが大きいのかもしれない。

一応、舞台設定をわかった上で覚悟して読み始めたのだけれども、どうにも違和感が…(-"-;)

そんなわけで、第2作を買うべきかどうかすこぶる悩み中です(>_<)