『 女王様と私 』 歌野 晶午

女王様と私 (角川文庫) ◆ 女王様と私  歌野 晶午 (角川文庫) \740  評価…★★★☆☆ <あらすじ> 真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも 「 ひきこもり 」 ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてる。今日も可愛い妹と楽しいデートのはずだった。あの 「 女王様 」 に出逢うまでは…。数馬にとって、彼女との出逢いがめくるめく悪夢への第一歩だったのだ。―全く先が読めない展開。個性的で謎めいた登場人物。数慄的リーダビリティが脳を刺激する、未曾有の衝撃サスペンス。 ( 文庫裏表紙紹介文 )
面白いことは面白い。リーダビリティは相当なものです。帯の煽りに偽り無し。 あ、リーダビリティとは関わりないとこでは偽りあるけど^^; でもなぁ、やっぱりこのヒトの仕掛けって反則スレスレというか、何か納得できないんだよなぁ。もう次を読むことはないかも。前に読んだ作品もそうだったけど、話は確かに面白いんだけど、最後に明らかになる仕掛けが卑怯な感じなので読み終わった後に不快感が残るんだよね。 ちなみに、私が読んだ印象では本書は新堂冬樹戸梶圭太と榎くるみを足して、下品要素というか黒要素を大幅に抜いた感じかな。 ※以下ネタバレ有り※ とにかく、途中で夢オチだって公言しちゃうのが有り得なくないかなぁ…。いや、それでも面白いことは面白いんだけど、全部夢とか妄想の類だとわかってしまうと先の展開への興味が大幅に薄れるのですよ。しかも、夢ならではの設定という前フリつきで、強く念じれば何でも叶うって切り札が4枚も使えるし。何よりも前半の極めて魅力的だった女王様が実在しないってのがなぁ(-"-;) そう、さっきチラっと触れた帯の偽りはここ。「 彼女との出会いがめくるめく悪夢のはじまりだった 」 って、出会ってないじゃん! あと、凄い妄想力で感服するけど、ほぼ引きこもりニート歴26年 ( だよね? ) の43歳キモオタロリコンオヤジの妄想にしては、細部に力があり過ぎるわ。女子のファッションとかショップとか各種高級料理店とその料理とか彼の妄想力ではあんなに描写できないはずです。後者についてはジャンクフードにしか興味ないんだから、そんな情報持ってないだろうし持ってても食べたことないから描写できないはず。前者についてはいくら調べても基本的なセンスという問題があるはず。あと、現役の女子でも覚えられないのにあんなにブランド覚えられるか? その他もろもろあるけど、とにかくすべて妄想ってのはいくら何でもダメでしょうよ。話が面白かっただけに落胆の度合いも大きいよ。まあ、妄想とわかってからでも事件の全貌が明らかになる謎解きは面白かったけど、でも、妄想だし謎解きは意味を為してないよなと思うし。で、夢から覚めたあとの展開はベタベタだしね。