『 ロストボーイ:ニューブラッド 』 ( 2008・米 )
◆ ロストボーイ:ニューブラッド ( 2008年・アメリカ )
監督 : P・J・ピース
出演 : タッド・ヒルゲンブリンク、アンガス・サザーランド、オータム・リーザー、
評価…★★★★☆
<あらすじ>
両親が交通事故で亡くなってしまったクリスとニコールの兄妹。既にハイティーンである二人は何とか自活しなければならず、とりあえず、家を貸してくれるという伯母を頼って、海辺の町へとやってきた。
そこは田舎ではあるが、ちょっとしたサーフタウンで、アマチュアとしては有名なサーファーだったのに、両親の事故でサーフィンを断念せざるを得なくなったクリスは複雑な気持ちだったが、得意分野であるサーフショップで仕事を探そうとする。やはり田舎町でなかなか職は見つからないが、サーファーとして顔を知られている彼は色々な人に声をかけられ、サーフィン大会で顔見知りでもあった元ライバル・シェーンにはパーティーに誘われる。
いかにも悪い雰囲気を漂わせたシェーンとその取り巻きたちが気に入らないクリスは行きたくなかったが、退屈していたニコールがひとりでも行くと言い出し、しぶしぶ同行することになる。シェーンの家で行われているらしいパーティーは思いの外に盛大で、思った以上に危ない感じだ。ニコールの身を心配するクリスだったが、ファンだというセクシーな美女に積極的に迫られて、つい目を離してしまう。そして、その間にニコールはシェーンといい感じになってしまっていた。辛くも理性を取り戻したクリスは急いでニコールを探し出して連れ帰るが、どうも様子がおかしい。実はニコールはヴァンパイアであるシェーンに選ばれてしまい、仲間にすべくヴァンパイアの血をワインに混ぜて飲まされていたのだ。
突然怪力を発揮して襲い掛かってくるニコールにパニック状態になるクリスを救ったのは、自称ヴァンパイアハンターのエドガーだった。ニコールがヴァンパイアになりかけているというエドガーの話をにわかには信じられないクリスだったが、再び別のヴァンパイアとしか思えない存在に襲われ、信じないわけにはいかなくなる。他に方法もなく、エドガーを頼るクリス。彼によれば、親ヴァンパイアを殺してしまえばニコールは人間に戻るというのだが…。
※以下ネタバレ有り※
★4つはちょっと評価高過ぎですね。正確には3・5かな^^;
模範的なB級ヴァンパイア映画であるこの作品のどこがそんなに良いかと言うと、現代若者感覚溢れているところ。何ともクールでかっこいいのだ。常識的な目で見れば無軌道で俗悪かつ残酷なんだけど^^;
本来は静かに、そして多くの場合は愛情をもって官能的に血を吸うだけで、犠牲者を苦しめることなどないはずなのに、彼らは獲物となった相手を引き裂き血みどろになりながら、吸血行為を行うというのが新鮮で面白かったですねぇ。個人的にはこういう吸血鬼は頂けないと思うのですが、本来こういうスプラッタ描写が楽しめないはずの吸血鬼モノでこういうのが見られたのが拾いモノ感あってよかったです^^;
何より面白かったのは吸血鬼である若者たちが、その特性を活かして実に無軌道な振る舞いをするところです。深夜の海でサーフィンをしたり、保安官事務所を意味なく襲撃して、車対バイク&ボードでの追跡戦を楽しんだり、大した理由も無しに仲間をナイフで刺したり。特に最後の悪ふざけ的に仲間を激しく傷つけるのにはびっくりしましたね。頭を小突くような感じで腹をナイフや棒で刺し貫いたりするんですよ!しかも、時には公衆の面前で。仲間意識の確認みたいな感覚もあったりするのかなと思うけど、大したダメージはないにしても、あれだけの傷を負ったら痛みはあると思うんだが。
ただでさえ無謀な若者たちが、超人的なパワーを手に入れた上に、ほぼ不死身に近い存在になったわけだからムリもないとは思うのですが、こういう発想って今までなかった( 私が知らないだけかも… )ので、新しいなぁと思って感心。
そういえば、冒頭の金持ち吸血鬼( 多分 )襲撃シーンで結構瞠目したけど、あの金持ち吸血鬼の背景が全く説明されてないのはどうなんだろう…。
話の大筋は、古典的に吸血鬼に魅入られた妹を救う兄の奮闘ぶりで、吸血鬼の魔力と兄妹愛の対決みたいな感じで特筆するほどのことはないのですが、前述の若者たちの無軌道ぶりや、兄に助力( 有料だが ) する正体不明の自称吸血鬼ハンターみたいのが加わってきたりして、シリアスなところも滑稽かつ現実的なところもあって、なかなか面白いです。
で、吸血鬼の親玉が実にかっこいい! 容姿も美しいし、現代的だし ( というか、生粋の吸血鬼ではなく、誰かに仲間にされた現代人みたいなんだけどね。元サーファーだったらしいから ) 人間的にも深みがある。ニコールは何故兄を選んだのか不思議なくらい^^; 兄のクリスの方は仲間であるチンピラ連中と元々ソリが合わなかった上に、心の準備ができてないところに残虐な吸血シーンを見せられてしまったからムリもないとは思うけど。
あとエドガーの背景が全く説明されてないのが少々残念 ( 特典映像にはちょっとあるけど状況は全然わからない。どうやらエドガーがメインだった別の作品があるっぽいですね… )ですが、彼の吸血鬼ハンターぶりもなかなか面白かったですね。聖水ランチャーの効果には驚愕。ネットで簡単に取得した牧師資格で作った聖水なのに^^;
( 3月鑑賞分 )
※ ここからは7月現在の補足 ※
・ 実は本作は80年代作品 『 ロストボーイ 』 の正統な続編だったのですね。 正編公開後20年以上経過してからの続編って! (@_@;)
『 ロストボーイ 』は知ってたけど( 残念ながら未見だけど(;_;) ) 、まさか、こんな時間空けて続編なんて思わなかったから、単なるパクリ題名だと思ってたわー。
ちなみに正編が好きだった方からすると本作はまるっきり駄作らしいです。うーむ。まぁ、比べるとそうなっちゃうかもしれないですけど、私は本作もなかなかいいと思うけどなぁ。いや、前作未見だけれどもf^_^;)
・冒頭の金持ち吸血鬼は何と! トム・サヴィーニだったそうです!(@_@;) 何をしているんだ彼は…。 自分に関係のある作品にちょくちょく出てるのは知ってましたけど、これは何故だろう? もしや、正式にオファーがあったのかなぁ?(^_^;)
ホラーって、有名な監督やスタッフが黙ってカメオ出演とかしてることが多くて、嬉しいのは嬉しいけど、レンタル専門で、しかも物語しか追ってない私は見逃しが多くて参ります(*_*)
つーか、顔見てすぐわかる監督やスタッフなんて、タランティーノぐらいだっつーの(-"-;)
・ クールで、かつ魔物らしい雰囲気もある現代的ヴァンパイア・シェーンを演じたアンガス・サザーランドは、『 24 』 ( 見たことないが… ) で有名なキーファー・サザーランドの異母兄弟なんだそうです! 似てねぇ。
で、さらに言えば、キーファー・サザーランドは前作『 ロストボーイ 』 でヴァンパイアとして出演していたんだとか(@_@;)