『 血のエイプリルフール 』 ( 2008・米 )

◆ 血のエイプリルフール ( 2008年・アメリカ )

 

 監督:ブッチャー・ブラザース

 出演:テイラー・コール、ジョシュ・ヘンダーソン、ジョー・イゲンダー 他

 評価…★★☆☆☆

<あらすじ>

舞台はアメリカ、カロライナ州の上流社会。州屈指の富豪・カルティエ家は当主が早世し、まだ青年である姉弟が家を相続していた。

ある年のエイプリフールの日、彼らの主催で開かれた友人の女性の社交界デビューを祝うパーティの席でひとりの女性が事故死を遂げる。しかし、その状況はどう見てもふつうの意味での事故死ではなかった。名家の令嬢である女性が下着姿のまま錯乱状態で、2階のバルコニーから広間のテーブルへと身を投げたのだ。

その後、当局の調べで、亡くなった女性はある種の薬品へのアレルギーを持っており、それを気付かずに服用し、錯乱して投身、死亡に至ったということがわかったが、その薬品というのは決して一般的な薬ではなかった。それは、俗に言うデートレイプ用に使われるような薬で、本人が自ら服用するとは考えられない。しかし、誰かが彼女にそれを飲ませたという証拠もなく、死の直前に彼女のそばにいたカルティエ家の若き当主・ブレインにはそんなことをする動機も必要もなかった。亡くなった彼女はブレインにぞっこんだったのだ。

結局、事を荒立てるのを避ける上流社会の意向もあり、ことさらに真相を究明することもされず、事件事故として処理され、不審な事柄は闇に葬られることになる。この件に関わって唯一表に出た裁きは、それまでにも素行不良が取り沙汰されていたブレインが財産管理人資格を停止されたということだった。

そして、表面上は何事もなく時は過ぎ、一年が経過しようとしたとき、カルティエ家の姉・デジレの元に、差出人不明のメッセージカードが届く。そこの記されていたのは、「 真実を知っている 」 という言葉だった。不安になった彼女は弟を始め、一年前の事件に関係していた友人達に連絡をとる。すると、全員の下に同様のメッセージカードが届いていた。「 真相を知っている。告白しないと友人を殺す 」。 集まったエンバーの大半は現実の生活に忙しく、カードのことをエイプリルフールのイタズラだろうと一笑に付すが、デジレだけは不安が拭えなかった。実は彼女は一年前の事件の真相に心当たりがあったのだ。

真相を告白するわけにはいかないが、何もせずに友人たちを死なせるわけにはいかないと必死になるデジレを事情を知らない友人達は適当にあしらうが、そこに第一の殺人が起こる。事件との関連は明確ではないが犠牲者は間違いなく、あの時のメンバーのひとりだった。やがて、第二、第三の殺人が起こるが、相変わらずデジレは孤立無援状態だ。犯人はあの事件を恨みに思っている誰かなのか、それとも、まさか、亡くなった彼女の幽霊が…!? デジレは次第に追い詰められていくが…。

 


うーん、何だかなぁ…って感じの作品ですな(*_*)

オチは最初から読めるんだけど、華やかな上流階級の世界を舞台に若い美男美女揃いという設定なので、見ていて楽しくないことはないんですね。題名から当然予測するような殺しだの惨劇だのを期待して見たら、期待はずれもいいところだし、面白いとは言いにくいけどつまらないと言うほどでもない。

ただ、やはり、きっかけとなる事件が地味過ぎるよねぇ。確かに人為的ではあったけど、結局のところ不幸な事故に過ぎないし、当事者にとっては悲惨ではあるけど見てる方からすると全然物足りない。燭台に串刺しになるとかすらないんだもの。

※以下ネタバレ有り※

で、悪意の対象となるおねえちゃん( = デジレ )も別にそんな悪い人じゃないしね。ただのわがまま娘で、常識の無さや自己中度合いは周りの連中も似たり寄ったりだし、彼女は一応友人を救おうと努力はしてるしね。更に言えば、他のメンツにも全然感情移入できないし。 ラストのネタばらしのシーンは正直タチの悪いイジメにしか見えなかったよ(-_-;)

もちろん、全てはエイプリルフールで…という仕掛けも読めてるからサスペンス感も全然ないし。 一応ど(んでん返しと言ってよいのであろうラストも想定の範囲内。でも、最後はご想像にお任せしますって感じなところはちょっと意外でしたが。そんなこんなで、色んな意味でちょっと悪い後味が残るだけで、見所もないけど怒るほどでもない、で、結局何を見せたかったの?という感じの何ともすっきりしない作品でした。

あ、でも、大オチの前のオチというか、どんでん返しであるデジレ殺害シーンは凄いあっさりすっきりで、そこだけは良かったかな。ごくふつうに話してた次の瞬間にアタマがふっとんでるので、一瞬何が起こったが飲み込めないくらい。銃声だけで実際の映像を見せないとこも良いですね。実際に発砲や暴発事件が起こった時ってこんな感じなんだろうなぁと思いました。

でも、自分の利害のために他人に一生消えないような傷を背負わせて、平然としてるブレインはやっぱり憎いな。実姉であるデジレをおそらくは金のためだけに殺したということ自体は別にいいんだけど( いや、よくはないんですが、まだ理解できるという意味でね )、自分で手を下さない上に、何の恨みもない友人の女のコを陥れる形になってるところがねぇ…。まぁ、空砲と言っておきながら実弾を込めた銃をほんとにデジレに向けて発砲するかどうか、そして、それがうまく彼女の命を奪うかなどということを考えると、非常に確実性は低い計画なので、そうなればラッキーぐらいでやったことなんだろうけどねぇ…(-"-;)

あと、執事の野郎もどうかと思うわ。暴言吐く時点で執事失格だし、そもそも、お前がちゃんと教育しろ(-_-#)

それと、キーとなる事件の被害者の女のコがいくら何でも貧乳過ぎはしないかと。あれでよくブラが留まってるなというレベルのほんとに哀れな胸で、見てて悲しくなります(T_T) 全体的にとてもやせてるけど、ガリガリではなく華奢っていう感じで、決して醜くはないんだけど、やっぱりカラダにフィットしたドレスや、下着姿だと貧弱と言わざるを得ない。こういう人は露出したらダメだと思いました(T_T) 

で、そんな体型で、凄い美人と言うわけでもなく、性格や行動も地味な彼女に、何故ゴージャスなデジレが激しい嫉妬の炎を燃やすのかが全く理解できないんだよねー。男をとられたとかプロムクイーンの座を奪われたとか何か具体的な恨みがあるならまだしも。そこが納得できないのも、この作品を何だかなぁと思わせるゆえんですな。

ところで、80年代のホラー作品で似たような題名のヤツがあるのですが、これってあれのリメイクなのでしょうか? 原典未見なので判断できないけど、私の知る限りの情報では全然違う話のような気がするんですが…。もしや、「 ほんとに死んだと思ってた? 実は全部エイプリルフールだったんだよーん 」 ってオチだけがリメイクなのかしら?(*_*)

( 6月半ば鑑賞分 )