『 キラータクシー 』 (2003・独)

◆ キラータクシー ( 2003年・ドイツ )

 監督:ウルス・エガー

 出演:アネット・レンネベルク、ハイッコ・ドイチュマン、アンナ・ブリュゲマン、ルカ・ザンペローニ 他

 評価…★★★☆☆

     

<あらすじ>

リーナはベルリンのタブロイド新聞の腕利きカメラマンだ。 数日の間で立て続けに若い女性の変死体が発見され、どうやら連続殺人事件らしいということで、リーナは同僚と共に勇んで現場に向かうが、そこで遺体を見て愕然とする。それは妹ヴァネッサの親友ミアだったのだ。つい昨日、元気な姿を見たばかりだったのに。

捜査の結果、全て死因は毒殺で暴行の形跡はないということがわかったが、手がかりは全くなく、ミアの件については警察は夜遊び好きな不良娘のことだとして、ヴァネッサの証言をまともに取り合ってくれない。ヴァネッサの携帯にミアが残した留守電メッセージの背後にタクシー無線が流れていたことを手がかりに、リーナは独自に調査を開始するが、ちょっとした行き違いからヴァネッサは反抗的になり勝手な行動をとるし、職場でも色々なトラブルがある。それでも、新たな手がかりをつかんだリーナだったが、彼女に特別な感情を持つ同僚の記者にそれを勝手に記事にされ、捜査は行き詰まる。そして、その記事により「 タクシー運転手が犯人だ 」という情報だけが強く印象づけられ、市中はちょっとしたパニックになり、ますます警察にもにらまれることになる。

そんな時、リーナの元に不審なメールが届く。それはどうやら犯人からのものらしく、新たな犯行のヒントを示唆すると共に、彼女のことを見ているというメッセージが記されていた。彼女は狙われる存在になったのだ。そして、犠牲者のひとりミアの親友で、かつ、リーナの妹であるヴァネッサも、また。 

果たして、犯人は本当にタクシーの運転手なのか?そして、犯人の目的は一体?


※以下ネタバレ有り※

ドイツ映画とは思えない( 偏見 )明るいトーンでテンポも良いし、主演女優もかわいいし…というんで、つい評価が甘くなってしまってますが、実際は星ふたつかなぁ…。

扇情的な題名の割には、そういうシーンは全くないんですよね。殺害方法は車内で毒ガスを噴出させることによる毒殺だし、生前にも死後にも犠牲者に対して全く手を触れないし、特に何も語らないし。で、何を目的に殺人を繰り返してるのか、最終的にリーナを狙ったのは何故か ( 彼女が真実に気付きそうだったからという理由では全くないと思われる )とかいう説明が、これまた全くカケラもない。見るべきものがほとんどないんですよ。

一応ミステリ仕立てなのかなと思うけど謎解き要素も別にないしなぁ…。全てが見たまんまなんですよねぇ。ポールを怪しげに見せかけてるけど、色んな要素から違うってことはわかるしね。逆にリーナが突然ポールに疑いを持ち始めてパニックになった時は何故今なんだと不思議になりました。

個人的には真犯人よりも、最初に思わせぶりに出てきた変質者の方が余程興味深かったですね。被害者の毛髪等を利用して事件現場の詳細なジオラマを作って、その写真を警察に送りつけたりしてたコイツは、警察の鑑識班の運転手なのでブツも詳細な情報も手に入れることができたんだそうな。

冒頭の派手なスクープ撮影が全くその後に関係なかったり、意味ありげな行動をとる嫌な同僚 ( リーナの元カレ? )も特に何もなかったり、ヴァネッサがどうしようもなくアタマが悪く考えのないわがまま娘の割には助かったりとか、リーナとポールがデキるのが唐突過ぎるとか、警察の各種対応とか、何だかなぁというところも多数あるし。あと、妙にハッピー過ぎるハッピーエンドなのも何だかなぁって感じ。

まぁ、リーナ役の女優さんがかわいいからいいか…。あと大した話ではないけど、見ている時は退屈せず、それなりにハラハラしたりもしたしね。暇つぶしに見るにはいいかと思います。でも、題名で期待して見た人は凄いがっかりする可能性が高いですね。原題はドイツ語なので邦題との関係がよくわからないのですが、仮に原題もこういう意味だったとしても、この題名は変えた方がいいと思うなぁ。