『 リビング・デス 殺しの前戯 』 ( 2006・米 )

◆ リビング・デス 殺しの前戯 ( 2006年・アメリカ )

 監督:エリン・ベリー

 出演:クリスティ・スワンソン、グレッグ・ブリッツ、ジョシュ・ピース、ケルシー・マシスン 他

 評価…★★☆☆☆

     

<あらすじ>      

ビクターは大富豪である親の遺産を相続し、35歳になった今も定職にもつかず気ままに遊び暮らしていた。退屈な日常を送っているせいか自宅に父の遺した拷問器具のコレクションがあるせいか、彼の性的嗜好はサディスティックで、時に行き過ぎた遊びにより裁判沙汰になったりもしていた。

彼の妻はそんな彼の無軌道な振る舞いにも日常の自己中心的な行動にもうんざりしていた。ビクターの友人で顧問弁護士であるローマンと愛人関係になっていたこともあり、ビクターが正式に遺産相続し遺言も作成したのを見計らって、ローマンと共に彼の殺害を計画する。

毒物を使った殺害はうまく行き、誰からも疑いを抱かれなかった。そもそも、遺言により司法解剖もしないことになっているのだからバレる気遣いはない。しかし、ふたりにとって予想外なことに監察医が強硬に解剖を主張し、葬儀の場から遺体を運び去ってしまう。そして、そこから全ての歯車が狂い始める。何とか死体を回収しようと慌てふためくローマンのもとへ使用した毒薬に関する恐るべき情報が入ったのだ。それによればビクターはまだ死んでないかもしれない。ビクターが死んでなかったとしたら自分たちがやったことは全てわかっているのだし、何をしでかすかわからない。何とか食い止めようと遺体置き場に走るローマンだったが、時既に遅く…。


※以下ネタバレ有り※

最初はSM官能サスペンスって感じなのですが、途中からスラプスティック的ゾンビ風味ホラーって感じになるんですねー。でも、ラストは割とベタなサスペンスかな? いずれにしても変な作品だ。まぁ、そこそこ面白かったですけど、とても美しいという設定のヒロインが余りにデブ ( しかも大して美人でもない )なのと、話の展開や設定に不自然な点が多過ぎたのがちょっとね。

特にフグ毒の本場・日本の国民としては、テトロドトキシンの扱いについて激しく異義を申し立てたいですね。あんな甘いもんじゃないっつーの。青酸カリの何百倍もの毒性なんだぞ。麻痺状態になるのも、死の直前まで意識が明瞭なのも嘘じゃないけど、症状の出方とか仮死状態になる割合とかについてが嘘っぱち過ぎ。まぁ、私も別に専門知識があるわけじゃないので誤認してることもあるかもしれませんが、それにしてもアレはひどい。抽出してるから毒性は低いのかもしれないけど、あの量を摂取したら生き延びられないよ。そして、仮死状態だったとしても、あれだけ放置してたら死ぬって。で、一万歩ぐらい譲って仮死状態で生き延びて回復したとしても、麻酔無しで腹掻っ捌いて内臓の摘出とかしてたら、それは死ぬだろう。そういや指も落ちてたよな。三万歩ぐらい譲って死なないにしても、その後、何の処置もせず ( 傷口の縫合をしたのみ )長時間元気で、人殺ししまくるとか有り得ねえ(-"-;) 動けるってことは麻痺から醒めてんだろ?だったら、あちこちが死ぬほど痛いだろ??? 

そもそもバイト学生が勝手に死体解剖をするに至るまでもひどい。 裁判所命令とか出てて色々ともめてた遺体だってわかってるのに、あんな愚かな行動をとるか? そこらのチンピラならともかく一応医学生でしょう? B級も荒唐無稽も好きなんですけど、こういうところがいい加減なのはどうにも我慢ならないんですよねぇ…。

ラスト近くの妻と愛人が拷問されるシーンで、物凄くあっさりお互いを裏切る発言をしてたのもどうかと思いましたね。しかも、その後になお、互いの愛情を明らかにするような言動があるし。何がしたいのやら、よくわかりません。あと、特に同情もできない妻が生き残ったのは妊娠してた故なんだろうなとは思うけど、あれは誰の子だ?

作り手がそこに重きを置いてるのかどうかはわかりませんが、グロ度残虐度はそこそこ高めです。でも、個人的には拷問系の方が見たかったなぁ。別にそういう趣味なわけではないです( どちらかと言えば単純なグロの方が好きです^^; )が、豪邸に先代から伝わる由緒ある拷問器具があるというせっかくの設定が生きてないのが勿体ない気がするのですよ。 特に冒頭の拷問プレイシーンで期待しちゃったからねぇ。しかし、この時のおねえちゃんは障害を負った( のだよね? )からは別人のようになってしまって、ちょっと変でした。そして、意味ありげに出てくる割には最後までビクターの無軌道な振る舞いの犠牲者に過ぎなくて、かわいそう過ぎる(/_;)

邦題の副題は全く意味不明ですが、原題でもある 『 LIVING DEATH 』 はストレートに仮死状態であるビクターを指すみたいですね。「 DEATH=死 」 っていうのは概念に近い現象だから「 LIVING 」が付くのは変な感じですけど、「 LIVING DEAD 」だと、=ゾンビってなっちゃうから仕方ないのかなぁ。「 仮死 」を意味する言葉にするとネタバレだしね。

それはそうと、「 私はあなたのお金を愛しているの 」って言って、平然と許してくれて、その上に愛人がいてもいいよって言ってくれる夫って素晴らしいなぁ。しかも、妻は全然キレイじゃなくてデブなのに。あんないい夫を殺すことないのにねぇ。確かに自己中心的で無軌道な人だけど、直接自分に害があるようなことをするわけじゃないんだから放っておけばいいのに。

あ、そういえば、さっきから妻がデブだデブだって文句言ってますけど、冒頭でナンパした女性もかなりふくよかでしたので、ビクターはデブ専なのかもしれませんね。さらに言えば金髪フェチに違いない( これは作中で本人も近いことを言ってた^^; )。

ちなみに、私はガリガリよりは断然豊満なタイプが好きなのですが、豊満にも美醜があって、妻役のクリスティ・スワンソンは明らかに後者なんですよね。太ってるのが似合わない。更に言えば、仮に似合っていたとしても、あの肉付きは女優として許される範囲をちょっと超えてると思うの。一応本作の看板女優みたいなのに、あんなになってちゃダメだろう、っていうか、プロとしてあんなカラダを画面にさらしちゃダメだろう。一介の主婦である私だって加齢による体重増加と戦っているのに。…と、そんなわけで今回は厳しく罵倒することになってしまったのでしたm(_ _)m