『 JIGSAW デッド・オア・アライブ 』 (2006・米)

JIGSAW デッド・オア・アライブ (2006年・アメリカ)  監督:サイモン・ボーイズ/出演:ナジャ・ブランド、エリック・コルヴィン 他  評価…★★☆☆☆ <あらすじ> ホープは6歳の娘・ジェニファーと二人暮らし。その日、久しぶりにデートをしたホープは浮き立った気持ちで眠りについた。そして、目覚めた時、彼女は何故か地中の棺の中にいた。わけはわからないが死の恐怖を感じ、必死でそこから脱出するホープ。そこは暗い森の中だった。 ここは何処?どうしてこんなところに?一緒にいたジェニファーは?と呆然とする彼女に近づく男が。男に殴られ気絶していたホープが意識を取り戻した時は、首にロープをかけられ、木の枝から吊るされていた。足の下には踏み台があるものの不安定で、いつ踏み外して首が絞まるかわからない。ふと痛みを覚え、我が身を見ると腹に縫合の痕があり、何かが埋め込まれているようだ。探ってみるとカミソリの刃らしい。眼前の木には同様にして吊るされた死体がある。娘を探すためにはここで死ぬわけにいかないと思ったホープは、気力を振り絞り、不安定な体勢で自らの傷口を抉り、カミソリの刃を取り出してロープを切ることに成功した。 地面に転がり苦痛に喘ぐホープに先ほどの男が近寄り、こう言った。 「 続けるか? 」。 事情はわからないが、全てはこの男の仕掛けたことらしいと察したホープは承諾の返事をする。娘を探さねばならないのだ。男はに手当てされたホープは、男の住居らしいテントがあるところに連れて行かれ、木に鎖で繋がれる。とりあえず、男の出す課題に応えていれば生きてはいられるらしい。何とかして、生き延びて、そして、隙を見て逃げ出そうとするホープだったが…。 ※今回のあらすじは鑑賞後すごく時間経ってから書いてるので、事実誤認のある可能性が非常に高いですm(_ _)m
※以下ネタバレ有り※ これが「 JIGSAWシリーズ 」( どういうコンセプトのシリーズなのかはよくわからないけど ) だということは知っていたので、別に 『 SAW 』と間違えて借りたわけでもないのですが、うーん、何だかなぁ…(-"-;) まぁ、例によって予告篇に惹かれて借りたのですが、これが予告篇以上でも以下でもないんですねぇ。あのまんまで、何の発展もないんです。あの首吊り切腹シーンは確かに迫力があり、ああいう映像が好きな人にはオススメできますが、私はあのテのリアルで理不尽に痛い目に遭ってる様を見るのは好きじゃないんですよね。マニアの理屈はわからんと言われそうですが^^; あ、でも、予告篇に文句をつけたいことが一点。本作での一連の行為はゲームという類のものではないでしょう。ジャンルとしては監禁モノでは?しかし、監禁モノにしてはヒロインらを攫ってきた男の意図や何かが全く不明。対象も子持ちのおばさんの次は女子高生でしょ。どう受け止めてよいのやら。 しかし、何だかんだ言っても監禁モノはヒロインが魅力的であるか、犯人の側に物語があるか、思い切って鬼畜かじゃないと盛り上がりませんよね。本作のようにヒロインが冴えないおばさんであっても、せめて、もう少しエロかグロでサービスするとかすれば、まだ見られるのだが、どうも全てが中途半端で。これなら、とても少女とは思えない肉体のヒロインを起用していた 『 スクラップブック 』 の方がよっぽどマシです。こちらは一応、犯人に物語もあったし。 そう、私はやっぱり加害者側の意図を明白にして欲しいんですよね。最初から明らかである必要はないんですよ。意図が不明な方が不気味さや怖さが増すこともあるから。でも、何故それをするに至ったかの理由はちゃんと描いて欲しいんですよね。何かに執着しているとか、こういうファンタジーがあってそれを実現しようとしているとか。最悪、単に精神異常なんだということを示すだけでもいいですけど、この場合は相当にわかりやすく異常じゃないとダメですね。 本作の場合は、加害者である男性はあからさまな異常者には見えないので、何らかの問題と、おそらくはそれに伴うファンタジーがあるんだろうなと思われるのですね。見たところ、ハーレムを作ろうという感じでもないし、家族が欲しいというのともちょっと違う気がするし、そもそも、そういう目的で女が欲しいんだったら、何故、冒頭のそれこそ 『 SAW 』のような仕掛けをせねばならないのかが全く不明だし。この仕掛けの部分は二番煎じ的ではあるけど、冒頭でも言った通り、なかなか良かったんですよ。でも、その後の監禁部分と全然結びつかないんですよね。野外で鍋磨かせたり野菜育てさせたりして、唐突にエコライフな感じ。それに耐えうる生命力の強い女を捜しているにしては、冒頭の仕掛けはやり過ぎだし、その後の生活に支障があるでしょう。 そして、非人間的な感じでゲームというか、彼の決めたルールの下での行動を取らせていた男が、何故かババァの色仕掛けにひっかかるところもどうも頂けません。どうせならババァじゃなく、女子高生にしとけよ!というようなことが言いたいわけではなく( 言いたくないこともないけど )、そんな人並みな行為をしてしまったら全て台無しだろうと言いたいわけです。愛情に飢えてたにしても性欲にしてもダメです。ホープがちょっと強気に出たら、処罰をためらうとか中途半端に人間的なところ出さないで欲しい。 ラストの娘を殺させてしまう仕掛けも想定はしてたけど、意味がわからない。逃げたことへの罰?それにしては長期間飼っていすぎだよね。あと、仮に自分の思うような女になって、おとなしく生活を共にしたら娘はどうするつもりだったのか?何かもろもろ説明不足で、材料は悪くない気がするだけに凄い消化不良です。 本作で唯一、感心したのは人は舌を切り取って、その後に特別な治療をしなくても( 見たところ止血もろくにしてなかったが… )生きているんだなぁと言うことです。腹を切って雑に縫合して無事ってのもアレですが、あのシーンは一応薬草を使ってる的な説明があったからね。これで、この件には何の裏づけもないって言われたら、ちょっと怒っちゃいますよ(-_-#) ちなみに原題は 『 Broken 』 らしいですが、まぁ、この作品の場合はどうでもいいです。 (2月鑑賞分)