『 裁判狂事件簿---驚異の法廷★傍聴記 』 阿曽山 大噴火

title="裁判狂事件簿---驚異の法廷★傍聴記 (河出文庫 あ 15-2)">裁判狂事件簿---驚異の法廷★傍聴記 </p>
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<p>(河出文庫 あ 15-2)

◆ 裁判狂事件簿---驚異の法廷★傍聴記  阿曽山 大噴火 ( 河出文庫 ) \714

 評価…★★★☆☆

<作品紹介>

報道された事件は、その後どうなったのか? ドラマは裁判にある。東にアヤシい法廷あれば行って傾聴し、西に濃いキャラの被告人いれば行ってスケッチし、みんなに暇人と呼ばれ、褒められもせず、いつも静かにメモしている。そういう日本一の傍聴マニアがおくる驚異の事件簿。監禁王子、ニセ有栖川宮事件ほか、全35編。  ( 文庫裏表紙紹介文 )


裁判員制度の導入もあり、今やすっかり1つのジャンルとして定着した裁判傍聴モノですが、私は以前から好きで結構読んでいます。しかも、本書の著者のも含め、イベントなんかにも行ったことがあったりします。まぁ、私は傍聴マニアではなくて、単に犯罪モノ好きなんですが^^;

そんな中で、本書の著者である阿曽山氏は、ちょっと失礼な言い方になりますが知識と知性が不足気味で、私のようなマニア気味の人間からすると物足りないのですね。たまにイラっとすることもあったりして。あとスケッチしてる割に絵下手だよねとか。そんなこんなで、ちょっと敬遠してたのですが、本書はつい最近の話題になった事件の傍聴記録が多く収録されているため、ついつい購入してしまいました。いやぁ、「 監禁王子 」 のその後が気になってたんだよねぇf^_^;)

で、結果はなかなか満足でした。取り上げられている事件も面白いものばかりだったし、久しぶりに読んでみると著者の素直な目線による素朴な感想もなかなか悪くないです^^; 同じことを感じていても私はこんな風に素直に書けないなとか思っちゃったりもしました。 フツーとか素直って大事だよなとメインテーマとは違うところでの感想ですが、実際、裁判という場では何がフツーかってわかる感覚は重要だよね。それと同時に、それぞれの立場や状況に応じての判断とか意見を素直に受け止められる(鵜呑みにするというわけではなく公正な目で見られるという意味で)ということも非常に大事だと思うんだ。別に裁判員でなくても、裁判官も検事も弁護士もな。

で、個々の事件についても書きたいことがたくさんあるんだけど、細かく書いてたら確実にこの記事は永遠にアップされないことになるので涙を飲んで割愛します(>_<) いつか書き足すことができるといいなぁ ( 遠い目 )。

とりあえず、監禁王子とニセ有栖川宮のは予想通り面白かった ( 裁判中に繰り広げられる前者のSM論、後者の恋愛論が愉快 )し、ニュースで見て気になってた 「 他人のかけているメガネと他人のつけているコンタクトを盗み続ける男 」の裁判等が収録されていたのは収穫でした^^

ちなみに、著者は文庫版あとがきの中で 「 事件のその後になんて興味ないのが一番正しい 」 という意味のことを書いているんですが、私は非常に興味があるんですよね。大きいものも小さいものも、下らないものも深刻なものも、奇妙な部分、不可解な部分のある事件のその後が気になって仕方がない。それを積極的に調査しようというところまではいってないですけど、気になっているからこういう本を買うわけです。

まぁ、それはかなり趣味的な部分があるのですが、私は「 大事件のその後 」 というのは、ある程度まで報道されるべきだと思っています。

ここも詳しく書くと凄く長くなっちゃうので省きますけど、大きな事件が起こった時には被害者と容疑者もしくは加害者のプライベートな情報まで一切合切暴き出そうとすることすらあるのに、その事件がどのように終着したかすら殆ど報道されないというのはおかしいと思うんですよね。加害者が責任能力がなかった場合は物凄い勢いで情報が出てこなくなるのも実に奇妙だし、加害者側の背景に考慮されるべき点があったとしてもそれは大抵の場合まったく報道されない。これは情報操作でしょう。

事件の結果や背景がきちんと報道されることは様々な点で有益だと思うんですよね。例えば、こういう事件にどのくらいの刑が下されるものであるかとか、責任能力のない加害者だった場合の判決はどうかとか、少年犯罪だった場合はどうか等司法制度の実際を知ることもできるし、被害者救済の問題、加害者家族の救済等の犯罪の周辺に存在する様々な問題、また世の中に存在している犯罪に至らしめてしまうような様々な問題等に多くの人が気付くことができるのではないかしら。企業や自治体の起こした事件とかにしても同様。

もちろん限られた紙面や時間の報道媒体でどこまで追えるかという問題はあるでしょうが、毎日毎日進展のない政治ニュースや愚にもつかない芸能ニュース、同じ内容を繰り返し報道する犯罪ニュース等を垂れ流しているのを見る限り、その時間がないようには思えないですけどね。そして、報道番組で概略を流すとともに詳細を報道する専門番組を作って欲しいものです。それはマニアしか見ないかもしれないけど、そこはスポンサーに左右されないNHKが作ればよいのではないかしら。

…って、既に結構長いな。もうやめよう(-_-;)

後半ちょっと書き飛ばしてるので論旨とかおかしいかもしれませんし、不適切な発言等あるかもしれませんm(_ _)m

( 4月読了分 )