『 逆襲 』 ( 2007・豪 )

ストライク・バック [DVD]

◆ ストライク・バック [DVD] ( 2007年・オーストラリア )

 監督:ジェイミー・ブランクス

 出演:ナディア・ファレス、ロバート・テイラー、デヴィッド・ライオンズ 他

 評価…★★★☆☆

<あらすじ>

弁護士のロブとアーティストのピアの夫婦は、とある週末、フレンチ島へ訪れることにした。目的はボートと釣りだ。夫婦間のじゃれ合いに近い小競り合いはあったものの、それなりに楽しんだ二人だったが、思いがけない悪天候に見舞われ、ボートはどこともしれない島へ漂着する。

思いがけない成り行きに苛立ち、険悪な雰囲気になりがちな二人だったが、ボートが用水路に入り込んだことにより、それなりの農家があるとわかって気分は一変する。その家を探して助けを求めさえすればよいのだ。

ところが、その家を探す途上で出くわした光景は非常に不安を募らせるものだった。車に乗っている連中がひとりの男を痛めつけているように思えたのだ。とはいえ、何かをはっきり見たわけでもないし、そのことは考えないようにして、とにかく民家を探すロブたちは、やがて大きな一軒家に辿り着く。

何度か声をかけてみたが反応はなく、どうやら扉は空いているし、人が住んでいることは確実らしいが今は誰もいないようだ。遭難した上に雨に降られ、一刻も早く快適な空間に戻りたいと思っていたロブたちは、つい屋内に入ってしまう。何しろ携帯すら通じない場所なのだ。何とか電話ができさえすればと思い、非礼を承知で足を踏み入れたその家の中は、何とも言えない不穏な空気が漂っていた。そして、その不吉さは裏手にある小屋に入ったときに決定的なものとなる。その小屋の中では大量のマリファナが栽培されていたのだ。

職業柄もあり、激しい危機感を感じたロブはすぐにここから出ようとするが、時既に遅く、家主である一家が帰ってきてしまった。しかも、彼らは帰ってくるなり侵入者に気付いたらしく、銃を向けて激しい威嚇をしてくる。

ここは何も気付いてないふりで従順に振舞うしかないと判断したロブたちは、姿を現して事情を説明する。すると、最初は留守宅に侵入したと激昂していた彼らは、そのうち落ち着き、思いの外に親切な対応をしてくれる。それでも、彼らの言動はどことなく奇妙で不穏だ。とはいえ、異を唱えるわけにはいかないロブとピアは彼らの好意を受ける形でシャワーへと向かい、シャワールーム内で今後のやり方など相談する。しかし、それは彼らの計画通りだった。彼らは窓外でピアたちの会話を盗み聞きしていたのだ。

シャワーから出た途端、雰囲気は一変していた。いや、最初の状態に戻ったというべきだろうか。まず、着替えが奪われ隠されていた。やむなく、それを指摘したロブに長男は激しく食ってかかる。それは更なる言いがかりや嫌がらせに発展し、彼らの言動はどんどん凶暴になってくる。そして、間に合わせの衣類しか身につけてないピアに欲情のこもった目を向ける。あわやというときに家長であり犯罪集団のボスであるらしい父親が現れ、難を逃れたピアだったが、それは単に先延べになったというだけのことだ。そして、それもそう長いことではないだろう。実はピアは妊娠初期で、その体をヤツらの思うようにさせるわけには絶対にいかなかった。

そして、ピアの反撃が始まった。


うーむ……。最初の頃は同時に借りた作品が思いの外に拾い物だったこともあり、えー、これがR-15ぉ? とか思いながら見ていたのですが、後半の追い上げが物凄いんですね、これ(*_*) 作品として、いい悪いは別として、ああ、こりゃ確かにR-15だわと思いました。ていうか、そうせねばなりませんね。R-18でも文句はないです。相当なスプラッタ描写だし、倫理的にも色々問題がある作品でございます。

※以下ネタバレ有り※

で、何と言ったらいいのかなぁ…。信じていただけるかどうかはともかく、私は性的なものも含めた暴力的な犯罪を物凄く憎む人間なんですよ。 理不尽なものは絶対許せないし、加害者にある程度の理があったとしても、強姦は絶対許さないって考えなのです。しかし、本作の場合はどうなんだろうと思ってしまいました(*_*)

いや、確かに主人公夫婦以外の人間は相当に悪い人なんですよ。実際にしたことだけでなく、様々なことから窺えるものからしても相当な極悪人。まぁ、息子達は善悪の判断ができないような状況下にいるとは思うけど、だからって、黙って犯されたり殺されたりしたくはないよね。そして、安穏としていたら間違いなく犯されて殺されるような情況なのですよ。とはいえ、……って思わずにはおられないところがこの作品の問題点かなぁ(-"-;)

もちろん、自分がヒロインの立場で、同じくらいの知能と技術と度胸があったら、絶対同じようにするとは思うけど、何か余りにも出来過ぎなんですよ。何のアーティストなのか知らないけど、あんな複雑な仕組みをすぐさま作れるものなの? しかも、限られた道具と材料で? とか、キラープッシーみたいな仕掛けってそんな上手くいくもんなの?とか、色々あるけど、いずれにしても不自然な気がするし、何よりも過剰防衛の感が否めないのだな。

いや、もちろん、そのままだったら絶対にダンナの方は殺されて、奥さんはさんざんに犯されたあげく殺されるだろうと容易に推測できるし、それは99.9%間違いないと思うんだけど、我々が見ている時点では、ダンナが脚を折られたに過ぎないんだよね。それなのに一家3人皆殺し、それも惨殺としか言えないやり方で……ってのがなぁ。最後の長男なんか殺したくて殺しているようにしか見えない。 しかも、息の根を止めるだけでなく残酷に肉体を破壊尽くしたいという意図すら感じられるよ(-"-;) 

これ、ふつうに裁判に持ち込んでも過剰防衛になると思うんだけどなぁ。まぁ、加害者側が死滅してるから実際には表沙汰にならないんだろうけど。

あ、そういえば、父親だけは奥さんが殺したわけじゃなかったな。自分ちの飼い犬に食い殺されたのでした。それを誘発したのは奥様のキラープッシーですけどもね。( 血の匂いがすると見境なく襲う犬なんだそうです… )

まぁ、とにかく被害者側に感情移入できないんですね。もちろん加害者側にもできないんだけど、どちらかというと観客に近い存在であるべき被害者側が感情移入できないタイプだというのは大きいよね。女の方は最初から、何か嫌な女だなって感じだし、男の方は悪くないんだけど、役に立たない男だなって感じでさ。ラストにあれだけの残虐行為を成し遂げた妻を抱きしめてキスするところには感心したけど、色んな意味でこの夫婦が今後上手くやっていけるとはとても思えないなぁ。

それはそうと、さっきもちょっと触れましたが、作中にあった女性器への仕掛けってあんなにうまくいくもんなんでしょうか???  

実際に体内に仕掛ける方としては、あんなの入んねぇし、入ったとしてもふつうにしてらんねぇよってのはあるんですが ( 下品ですみません… ) 、そういうのを置いといても、相手の男の方が事前に中を見ようとしたり、指や舌を挿入しようとしたりしたら一発でアウトなのではないですか?( 更に下品ですみません… )

血気に逸ってる強姦野郎はそんなことしないってのは甘過ぎる認識だよね。確かに、その場で組み伏せるような男ならそうだろうけど、ある程度時間を置くことができる男は絶対この罠には引っかからないと思うがなぁ。ふだんできないようなことしたいから強姦するって男も多いわけじゃん。フツーだったら相手が嫌がるようなことをするっていうと、やっぱり、そういう露出というか観察とかみたいのになってくんじゃないかなぁ。

あ、もちろん、作中では引っかかってますよ。でも、現実的に考えるとヤるまでにあれだけ無駄話ができる男は引っかからないと思うんだよなぁ。賭けてもいいけど、あのくらい余裕がある男はいきなり入れないですよ ( 再々下品ですみません… )。

まぁ、そういう細かい話(?)は置いといて、製作者の意図が那辺にあるのかはわからねど、通常なら蹂躙されるだけの女性が自らの力で反撃に出て、勝利を収めるというのは同じ女としては実に爽快感がありますね。 本作の場合はやり過ぎで感情移入しづらくはありますが、常に被害者なんだからこのくらいしてもいいのかもね。

ヒロインが結構歳くってる上に全く私好みじゃないのが誠に残念ですけど^^; 

しかし、これは前にも何かで書いたと思いますが、欧米諸国では女はいつまでも女なのですねぇ。特に、フランスにおいては歳若な美女よりも中高年の美女が尊重されるようですよね。 10代とか20代の青年と40代の中年女性の恋とかいう話が結構普通にありますもんね。って、これはフィクションだけでの知識なので実際はどうなのかわかんないですけど、実際に有り得ないような話なら映画になんかならないはずなので、少なくともそれが受け入れられる土壌だということですよね。

日本は青年が老女を犯したら、それは普通なら有り得ないことだから犯罪として成り立たないという判決が受け入れられるような国でありますので、若くない女性というのは全く価値がない、というかむしろ罪悪だとどこかの都知事が平然と言い放って、それが特に問題にもなっていないくらいで、本当に女性に関しては年齢第一主義なんですね。まぁ、確かに若い=美しいと言ってもいいくらいですから、それを責める気はないのですが、こうやって他国の価値観を見ると色々考えさせられますね。

実際に中年女性である当方としては物凄く忌憚のない意見を言えば、いくつになっても女としては認めて欲しいけど、このくらいに歳になってまで痴漢とかの獣欲の対象にはなりたくないと思いますね。 女という性に生まれると、ほんとに幼児の頃から男に対して警戒の気持ちを持たねばならんのですよ。 あと、そういうストレートな欲望とかでなくても、もれなく外見で値踏みされるというのもありますよね。 何か、もういいかげん、そういうのから解放してくれって思います。

ところで、題名である『 ストライク・バック ( strike back ) 』 は仕返しとかいう意味なので、最初からそういうコンセプトで作った作品なのだなぁと思って、あらすじでもそこまで書いちゃったのですが、よくよく確認すると原題は違うんですね(@_@;) ちなみに、『 STORM WARNING 』ですって。 直訳すると『 嵐の警告 』 ?  ちょっと意訳して、『 急襲の前兆 』 ? うーん、いずれにしても微妙ですな。 これはまぁ、ネタ割り気味でも邦題の方がいいかな。