『 第六の大罪―伊集院大介の飽食 』 栗本 薫

◆ 第六の大罪―伊集院大介の飽食   (講談社文庫) \520  評価…★★☆☆☆ <作品紹介> 「 現代グルメ 」は暴食という罪を犯し続けている。肥え太らせることで恋人を奪った親友に復讐を企む 「 グルメ恐怖症 」 の他、命を救ってくれた “ 幻のラーメン ” の正体を追求する 「 芥子沢平吉の情熱 」 、ワニの姿造りを作ろうとした有名シェフの悲劇を描いた 「 地上最凶の御馳走 」 など、シュールなフルコースの全4編。  ( 文庫裏表紙紹介文 )
大学に入るまでくらいはそれなりに好きで読んでいたけど、ある時期からぱったり読むのをやめてしまった著者の、それも元々余り好きでなかったシリーズの作品である本書を何故手にとってしまったかというと、それは題材が「 第六の大罪 」 すなわち暴食だったからです。 物凄く偏食であった過去をもつ作者( 中島梓名義の著書の中で、高校3年間毎日、ささみのソテーと固く焼いた目玉焼きとほうれん草の炒め物というメニューの弁当を持って行った。品目や量、味付けなどは常に寸分変わらず、そうでないと食べなかった。しかも、この弁当は今でもたまに作って食べるという話を書いていた。凄く古い記憶なので細部違ってたらすみませんm(_ _)m )が、これまた食に興味のない主人公を使って、果たしてどんな話を書くのだろうかという興味を抱いてしまったのですね。まぁ、作品紹介からすると暴食をテーマにしているのは第一話だけだというのはわかりますが、それでもなお興味深い。 で、結果は…、うーん、買ってまで読むほどじゃなかったなぁ(-"-;)  ※以下ネタバレ有り※ まぁ、正しく暴食をテーマにした第一話( 『 グルメ恐怖症 』 )は結構面白かったのですよ。現実的かどうかは別として着想もなかなか斬新だし。  続く 『 食べたい貴方 』も、題名通り物凄くベタな内容、展開ではあるのですが、登場人物が大物外国人ヒットマン ( =食べる人 )と58歳なのに箸にも棒にもかからないチンピラヤクザ ( =食べられる人 ) という意外性による面白さで結構読めました。でも、いくら霜降りを求めてるからって58歳は年寄り過ぎだろう…ってか、そもそもこんな歳でまだチンピラヤクザやってるものかね? …と、まぁ、突っ込みどころは結構あるにしても、最初の二話はまぁそこそこだったんですが、後半二話がひどい。どっちもオチもひどいし、仕掛け( と言うほどでもない )もひどいし、よくこれを商業作品として世に出すよねって感じでした。ことに最終話 ( 『 地上最凶の御馳走 』 )はムダに長いので、読んでてだんだん腹が立ってきました。 第三話の使い古された都市伝説のような話をオチに持ってくる姿勢にも驚愕しましたけどね…。書き下ろしじゃなくて30年くらい前の作品の再録であるなら許容範囲…かなぁ。それでもやっぱり微妙だ(-"-;) 予定最終巻であった100巻を超えて、いまだ書き続けられている『 グイン・サーガ 』 はちゃんと質を保っているのか物凄く不安になってきましたよ(T_T)  著者の作品を読むのをやめてしまった今となっても、『 グイン・サーガ 』にはいまだに少々未練があって、何巻になるかわからないけど完結したら老後に読んでもいいかなぁと思ったりしてるのでね…。 ちなみに冒頭で触れた中島梓名義の本は多分、『 くたばれグルメ 』 だったと思います。これは面白い本でした^^;