『 逆説的―十三人の申し分なき重罪人 』 鳥飼 否宇

◆ 逆説的―十三人の申し分なき重罪人  鳥飼 否宇  ( 双葉文庫 ) \670  評価…★★☆☆☆ <作品紹介> 殺人、脅迫、誘拐、テロ…一見単純だが、どれもこれも一筋縄ではいかない複雑怪奇な事件が、次々と起こる綾鹿市。犯人は!? そして、事件の真相は!? 事件解決に奔走する五龍神田刑事と、名推理を披露する謎のホームレス探偵「じっとく」―。本格ミステリーの奇才が12の犯罪と13の謎で読者へ挑戦する。 ( 文庫裏表紙紹介文 )
本格ミステリーとバカミスの旗手である著者の作品をちゃんと読むのは意外にもこれが初めてだったりするのですが、本書はちょっと期待外れかなぁ…。 紹介文などからすると本格に分類されているようですが、私の感覚ではバカミスの範疇ですね。本格の魂を持ったバカミスと言うべきかしら? まぁ、大抵のバカミスは本格の魂と教養を持った人が書いているものなので、そんなことは言うもおろかって感じではありますが、本作はパロディっぽく本格好きを提示してたりもするので一応区別してみました。個人的にはバカミスの場合はそういう教養は伏せといて欲しいんですけどね。 面白くないとは言わないし、謎解きもどうかと思うところもあるけど許せる範囲ではあるけど、基本設定 ( 刑事とホームレスの関係、じっとくの存在等々 ) にムリがあり過ぎるのがちょっとねぇ。あと、この著者の基本姿勢なのかどうかは知らないけど作中での女性の扱い方が凄く不快です。役割上のものだけでなく、女性に対する描写や作中人物による評価なども甚だ不快 ( 特に 『 予見されし暴行魔 』 )なので、著者自身こういう考え方の人なのかと思わざるを得ない感じがしますが、どうなんでしょうね?  そういう面も含めて、本書一冊だけで評価はできないので、何となく敬遠していた著者の作品を何冊か読んでみようと思います。現時点での私見では、色んな意味で折原一と同じニオイがするなぁって感じですが…。今のところ、折原氏の方が作品の面白さでは上ですけど。 ( 8月読了分 )