訃報~国語学者・大野晋さん逝去

またまた訃報ですよー(T_T)

 国語学者・大野晋さん(88歳) 7/14に心不全のため逝去

確かにそこそこ高齢ではあるけど、この方は90歳になっても100歳になっても、ずっと現役で研究や著述をしてらっしゃるようなイメージだったので、ショックです…。合掌。


以下、例によって記事も貼り付けておきます。(毎日新聞配信のものを抜粋)

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 日本語の起源をはじめ、言葉を通して日本とは何かを探求した国語学者学習院大名誉教授の大野晋(おおの・すすむ)さんが14日午前4時、心不全のため、東京都内の病院で死去した。88歳。

 東京生まれ。東大卒、文学博士。橋本進吉に師事して古代日本語研究の道に入った。学習院大教授、東洋英和女学院大教授などを歴任。万葉集日本書紀の校訂・注釈にかかわり、万葉仮名に清濁の厳密な区別があると指摘した。

 さらに、古代日本語は、南方系とアルタイ系の言語、南インドなどの古代タミル語が重なり合って成立したとの説も発表して、議論を呼んだ。

 国語教育についても発言し、99年には、著書「日本語練習帳」が発売1年で180万部を超えるベストセラーになった。

一方、部落差別に基づく、えん罪事件として問題になった狭山事件では79年、脅迫状が石川一雄被告(当時)のものではないと鑑定し、被告の再審を訴えた。

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若かりし頃の私は読書好きの余り、国語学言語学みたいなものにも興味を持っていて、大野氏の著作は興味深く読んだものです。語源研究なども楽しかったですね。

また、丸谷才一氏が好きだったので、その関係からも氏の著作や言動に触れることがあり、深く尊敬すると同時に通常の学者さんよりかなり親しみを持っていました。深く広い学識がありながら、既成概念にとらわれないところも素晴らしいですよね。

日本語の持つ美しさ、面白さ、ひいては言葉というものの持つ力といったものについて、わかりやすく面白く教授して下さる偉大な方が亡くなられたことは大きな損失です。

大野氏の提唱されていたような国語教育が実践される気配はいまだなく、英語教育ばかりが優先されているようですが、これからの日本語はどうなってしまうのでしょうねぇ…。こういう分野から離れて久しいので、大野氏の後継者が育っているものなのかどうか定かではないですが、何とかして欲しいものだと思います。

普段このブログで、物凄く乱れた言葉や文章を書いている私が言っても全く説得力がないかもしれませんが、言葉の正しい意味を知った上で、正しい言葉を使って会話したり正しい文章を書いたりすることって、とても重要だと思うのですよね。そして、正しく読む力を持つことも。それができれば、色々な誤解や行き違い、争いごとなどが随分減るのではないかと思うのです。

せっかく言葉という素晴らしいコミュニケーションツールを持っていながら、それを使いこなせず混乱し、時にはそれが他人や自分をも傷つける凶器になってしまったりしているというのは、何とも勿体なく残念なことです。

特に日本語は繊細で微妙な表現ができる言語なのですから、それを正しく使えるようになれば、心も豊かになるのではないかと思うのですがね。 「 KY 」 みたいな略語 ( これはこれで日本人らしい面白い言葉ですけど ) や妙なカタカナ語ばかり使っていては、白か黒かしか選べない二進法の脳になっちゃいますよ。

言葉は生き物なので変化していくのは自然なことですから、私は新しい略語や造語を基本的には否定しませんが、それはあくまでバリエーションや進化形であるということを認識しておいてほしいなぁと思うんですよね。基本を知って、選択肢もたくさん持っている上で、そういう新語を使うなら、むしろ奨励しますね。

あ、でも、個人的に 「 雰囲気 」 を 「 ふいんき 」 と読むのが当然であるみたいな ( この誤った読みで変換までできるらしいじゃないですか! ) 最近の流れにだけは断固として反対したいです。