『 エンパイア・オブ・エイプス 』 (2007・米)


empire1.jpgエンパイア・オブ・エイプス ( 2007年・アメリカ )  監督:ロバート・ヤング  出演:F・マーレイ・エイブラハム、マット・ライアン、フレイシア・ボーマンバーラン 他 評価…★★★☆☆ <あらすじ> セスを始めとする男女6人の学生は、高名な動物学者ハミルトン教授から招聘を受け、アフリカの奥地にある密林地帯へとやってきた。彼らは互いに面識のある者もいるが、特に友人というわけではなく、社会学、動物学、文化人類学などそれぞれ異なる分野を専攻している。どうやら優秀な成績を修めているところから教授に選ばれたらしい。全員が高名な学者に招かれて研究に参加できるということに興奮し、向学心と功名心に燃えて現地に到着した。 ところが、迎えの車は来てくれたもののキャンプのメンバーではないらしく、教授のキャンプ地まで運んでくれず、彼らはジャングルの中に放り出される。道もわからないし迎えも来ない。夜が明けてやっと迎えにきてくれた中国系の女性は妙に高圧的で、質問も受け付けず説明もしてくれない。そして、辿り着いた場所には研究隊はいない。そこにいる教授は確かに本物だが、彼の言動も色々と不可解なことがある。自分達に以前にキャンプに参加していたはずの人々の姿がないのも不審だし、明らかに何かを隠しているようなのだ。 不審に思っている学生達に教授は驚くべき事実を語り始める。学生達には通常の生態調査のように説明していたのだが、実は今回の研究対象は全く未知の存在だというのだ。教授は、地球上に存在しているどの生物のものとも違う頭骨を発見したことをきっかけに、数百万年にわたり人類の侵入を拒んできた土地へ入り込むことに成功し、そこに通常の進化の過程から外れている 「 ミッシングリンク 」とも言える存在の霊長類が棲息していることを発見したのだという。 この信じられないような大発見と、それに関われることに興奮する学生たちは、少々の不審や不満には眼をつぶり研究にとりかかろうとするが、どうしても納得できないし、ここの生活にも我慢ならないという女子学生がひとり、何としてでも帰国すると言い出す。教授が帰してくれるとは思えないと不安に思いながらもその夜は眠りについた一同だった。ところが翌朝、その女子学生は姿を消していた。教授は望みどおり帰国させたと言うが、そうは思えない点が多々ある。 残された学生たちの間に、また不安が募り始める。 やがて、研究対象である霊長類の恐ろしさと教授の真の意図が明らかになってくる。それは、どちらも驚愕すべきものだった。どちらに転んでも自分達の命は危険に晒されていることがわかった時、学生たちは脱走を決意するが…。 果たして彼らは生き延びられるのか?
※以下ネタバレ有り※ 久々のUMAモノだと期待して臨んだのですが、うーむ…。これは違うよなぁ。 だって、この作品で一番怖いのはハミルトン教授なんだもん。実際に人を殺したり傷つけたりするのは、確かにUMAである獰猛巨大利口猿なんだけど、そういう状況に追いやるのは教授で、そのやり口も対応も何ともひどい。 あ、教授の忠実な助手である中国系の女性も怖いですね。 若くてなかなかのルックスなんですが、学者というより傭兵とかではないかと思われる冷酷さと暴力性と体術を備えており、余り知的には見えないのだけど教授の研究内容はちゃんと理解しているようで、非常に忠実かつ的確に行動するんです。 実は、私こういうタイプ結構好み^^; いや、コワいのはコワいんですけど、容姿に似合わず忠実でデキるところにちょっとそそられるんですね^^; ( このオヤジは全く…(-"-; ) で、ここではっきりネタわりますと、この映画はUMAの恐怖を描く体裁で、マッドサイエンティスト( …というと何かを作り出す方をイメージしちゃうけど、この場合はキチガイ学者 ) の恐怖をいくらかのグロシーンと少しの青春映画風味をスパイスに描いたものです(笑) でも、マッドサイエンティストというほど研究に対して純粋じゃない感じなので、自己中心的な人間の恐ろしさと言った方が適切かなぁ。だって、学生たちを呼び寄せたのはオトリにするためとは言ってたけど、一方で 「 他の学者に協力を頼んだら功績を分け合わなければならないから 」 とも言ってたからね。 実際、オトリにするためだけだったら優秀な学生である必要はないし、事後処理とかを考えれば現地の人とかの方がいいはずだから、これは確実に真実だよね。 うーん、そういうイヤらしさがこの教授を悪人面にしているのだな。 いわゆるマッドサイエンティストだと、狂気に彩られた行動をとっていても何だか憎めなかったりするんもんだけど、こいつはただ憎いもんな。 でも、助手の中国美人とは心が通い合っているようだから、そんなに悪い人ではないのかもしれない。 …ってのはいくら彼女が好みだからって甘過ぎるか^^; しかし、あの死に様はよかったね。まぁ、これは教授の手柄ではないけど ( UMA猿の罠にまんまとかかって、背後から串刺しにされて死んだのです )。 いわゆるサービスシーンは全くない ( そういえば、男女同数の学生6人もいるのにフシダラなコトをする者がひとりもいない! これはこのテの映画では例のないことではないかしら(@_@;) 一応3つにカップリングはされて、それぞれに友情以上恋愛未満みたいな心の通い合いはあるんだけど、みんな不自然ではないし嫌な感じもしない。 さすが、学者を目指してるような知的レベルが高い学生さん達は違うね^^; ) ですが、若者達はそれぞれに個性的で魅力的だし、残虐シーンもそこそこいい線 ( 顔面をばっくり剥いでいくとか、もいだ手足を木の上に飾っておくとか )、 スリルやサスペンスもきちんとあり、まぁ悪くはない映画なんですが、肝心のUMAがほんとに全く活躍しないのが残念極まりないですねぇ(T_T) わずかに見せてくれたお姿もかなり低レベルな出来だったしな。まぁ、霊長類っていう前提があるから限界はあるけど。 予告篇で見ても本編で見ても、設定的には非常に魅力的なUMA ( 知能は人間並で、体格はゴリラ並or以上。習性やその他の情報は全く不明だが、見る限り獰猛で、もしかすると肉食 ) だったのになぁ。 まぁ、個人的には巨大UMAは爬虫類 ( 場合により魚類も可 ) に限る!と思っているのですが^^; ちなみに生物パニック系だと昆虫が好きです。 哺乳類・鳥類だと、どんなに獰猛だったり大量発生してたりしてても、殺されるとかわいそうな気がしてしまうんですよねぇ。 いや、昆虫だったら気にせず殺していいというわけでは無論ないですが、赤い血や人間と類似した内臓が出たり、苦痛の表情を浮かべたりしないので、比較的楽に見られるんです。あと、大量発生した時の嫌悪感も強いので見てて楽しい ( 変な文脈^^; ) し。 昆虫と言えば、今まで見た生物パニック系で最悪で最高だったのは 『 ブラッダ 』 かなぁ。 いや、『 ザ・ネスト 』 かな? どっちもゴキブリものなんで混同してるかも。  んー、確か前者はリアルに気持ち悪くコワく、後者はちょっと笑えるところもあったような…。 じゃあ、とりあえず同率首位ってことで^^;  いずれにしろ、海外のゴキブリって日本のより獰猛で嫌な感じですよねぇ。 …と、何だか本編と全く関係ない話になってるのは、まぁいつものことだからいいか^^; ちなみに、本作の原題は 『 Blood Monkey 』 なんですが、これも内容からすると何だか違うよなぁ。 邦題の方がまだマシな気がするけど、 『 猿の惑星 』 を連想させるところに微妙感があるよね。 なので、今回は和訳はしませんでした。 まぁ、どうでもいい話ですが。