『 コワイ女 』 (2006・日)

◆ コワイ女  (2006年・日本)

 監督:雨宮 慶太、鈴木 卓爾、豊島 圭介

 出演:中越典子豊原功補香川照之柄本佑菜葉菜、目黒真希、須賀健太

評価…★★★☆☆

<作品紹介>

3人の鬼才監督が 「 コワイ女 」 をテーマにそれぞれの恐怖を描いたオムニバスホラー。

『 カタカタ 』 … 監督:雨宮慶太/出演:中越典子豊原功補小林裕子

結婚を控えたごく普通のOL・加奈子。婚約者とデートして、ちょっと豪華なプレゼントを貰い、幸せな気持ちでの帰り道、カタカタ…という奇妙な音を耳にする。そして、その直後に道路沿いのマンションの上から何かが落ちてきて加奈子にぶつかる。加奈子は激しい衝撃で気を失うが、目覚めた時には特にケガもなく変わった点もないので不安な気持ちながらも帰宅する。くつろいでいると婚約者から切迫した調子の電話が入る。別れた妻が包丁を持って襲ってきたというのだ。そして、加奈子にも外に出ないようにと言って電話は切れる。怯える加奈子。しかし、その時には既に異変が起こっていた。異様な気配に振り向くと部屋の中に赤いワンピースを着た見知らぬ女が包丁を持って立っていたのだ。襲いかかってくる女から必死に逃げる加奈子だが、女の様子は明らかにおかしいし、それ以外にも怪奇現象としかいえないことが彼女を襲う。

果たして女の正体は婚約者の前妻なのか?それとも、近所で事故死した子供の後を追って死んだという母親の怨霊か? 彼女を襲う悪意の正体は?

『 鋼 』 … 監督:鈴木卓爾/出演:柄本佑香川照之菜葉菜

町工場で働く関口は真面目でおとなしく冴えない若者だ。そんな彼に社長が突然、「 妹とデートしてやってくれ 」 と言い出す。戸惑う関口だが社長の頼みを断れるわけもないし、妹だと言って見せられた写真はかなりかわいい。約束の日に社長の家を訪ねると、妹だと紹介されたのは腰までずだ袋を被って一言も口をきかない奇妙な人間だった。腰から下を見る限り確かに若い女性のようではあるが…。当然のことのように振舞う社長に何も言えず、彼女・はがねを車に乗せてデートに出かける関口だったが…。

『 うけつぐもの 』 … 監督:豊島圭介/監修:清水 崇

             出演:目黒真希、須賀健太松岡俊介

離婚して息子の道夫を連れて、母親が一人で暮らす田舎の実家に帰ってきた冴子。そんな彼女に母親は冷たく、すぐに東京に戻れと言う。余りに冷たい態度にカッとなった冴子は 「 あたしだって帰ってきたくなんかなかったわよ! 」 と言ってしまうが、それは実は本心でもあった。実は彼女は幼少時に忌まわしい記憶があるのだ。深夜、兄・正彦を異様な様子の母親が土蔵に連れ込むのを目撃したことがある。そして、その後、正彦は行方不明になった。

その時の母の不気味な様子と土蔵の禍々しい雰囲気が蘇り、土蔵を見つめる冴子。やがて、冴子の様子もだんだんおかしくなっていく。一方で、道夫は奇妙なものを目にし始め、怯えていた。そんな道夫に辛く当たったり、妙にやさしく振舞ったりする冴子。いつもと違う母に戸惑い怯えながらも、母しか頼れない道夫。家庭内での緊張感が高まっていく。どうやら、冴子の母は全てを知っているらしいのだが…。


※以下ネタバレ有り※

例によって気を抜いて見る映画枠で借りた一本^^; (いや、常に気を抜いてますけどね…)

全体的には、ああ、まぁ、こんなもんだねって感じだったのですが、個人的には2作目の『 鋼 』 がかなりヒット! はがねちゃんてば、かわいいし、エロいし、怖いし、いいわー。ダメな人には全くダメであろう意味不明な感じの作品なんですけど、私はかなり気に入りました。まぁ、もう少し謎を解明して欲しかったけど。

はがねちゃんは本当に社長と兄妹なのか?とか何が楽しくてミシンを踏んでるんだろう?とか、はがねちゃんの内部には鋼の刃物が内蔵されてたりするみたいで、そこは確かに名は体を表してるけど、何故それを覆うものは有機物の中でもラフな存在であるズタ袋なの?とか、手は常にあるようには見えないけど生えてくるの?とか、何を食べてるの?ってゆーか口あるの?しゃべらないけど思考はしてるし、ひとりで問題なく動いてるから脳とか目や耳に近い感覚器官はあるんだよね?とか、袋のヒモほどいたら内臓的なものが溢れ出してきたけどアレはズダ袋に入れてたら色々問題があるんじゃ?とか…キリがないので、この辺でやめておきますが^^;

あと、できれば関口くんと結ばれて欲しかった^^; 関口くんと心が通じたかに見えた時に今までないんだとばかり思ってた手が出てきたし、最初はヒモをほどいたら問題が生じていた袋の中に入ることもできたし、愛情を得て進化するのかと思って見てたんだけどなぁ。 明示されてなかったけど、先ほど挙げた疑問のひとつ「 何食べてるの? 」の答えはやっぱり 「 人間 」なのかなぁ。それだと、ちょっとつまんないな。

ちなみに、はがねちゃんは脚が非常に細くて長くてきれいで、関口くんのデートの時は黒革の超ミニスカで露出してるのでエロい感じに見えましたが、実際はちょっと細すぎだと思います。でも、そこがまた非人間的な感じでよかったですね。最後に少女っぽいフワフワのスカートで跳ね回るシーンもハマってたし。本来の私の好みはもう少し肉感的な脚( でも短いのはダメで、長くて、太ももはしっかりあって、膝下が細いのがベスト )なんですが、本作の場合はこの脚じゃないとダメだと思いましたね。脚フェチの人にもオススメの作品かもしれません^^;

『 カタカタ 』 は割とベタな感じのジャパニーズホラーですね。 『 超怖 』 シリーズとかに入ってそうな感じ。人によってはこれが一番わかりやすく怖いのかもしれないけど、私は一番つまんなかったなぁ。

異形なんだか怨霊なんだかはっきりしないし、親子霊もなんか意味不明だし。赤いワンピースの女がもっと思い切って異形な感じだったら、もう少しよかったかも。以前見た雨宮監督の仮面ライダー映画の怪人とかの造型がかなり良かったので、期待し過ぎてた感はあるかもしれないけど。

『 うけつぐもの 』は正統派ジャパニーズホラー。ホラーというよりは怪談という感じですね。

呪われた血がそうさせるのか、土蔵だか掛軸だかの力がそうさせるのか、両方なのかわかりませんが、その家の女は代々己の息子を殺してしまうようになってるらしいのですね。おそらくそれには、土蔵という場所、息子の年齢などの条件が揃う必要があるのだろうけど。それが「 うけつぐもの 」なのであるらしいです。

引っ越せよ!とか、最初に警告しとけよ!とか色々突っ込みどころはあるのですが、怖いのは怖い話です。自分が全幅の信頼を置いている存在、自分を愛してくれて守ってくれると思っている存在が、ある日突然脅威になるというのは本当に物凄く恐ろしいことですよ。そして、それは現実にしばしば起こっていたりするんだよなぁと昨今の幼児虐待死頻発を思い、二重に嫌な気分になりながら見ました(T_T) そもそも、私、こどもの出るホラー嫌いなんだってば(-"-;)

本作の場合、更に嫌なのは母親が豹変するわけではなく、微妙に変化して行き、時には自分の知っているままの母親だったりもすることですね。その上、息子は他の怪異にも直面しているし、引っ越してきたばかりの場所で頼る人も相談する人もいない。もちろん、両親の離婚の衝撃もあるでしょう。ああ、何て嫌な話だろう(-"-;) 道夫がかわいそう過ぎるだろう!こどもイジメはやめろ!!と言いたくなります。私はこどもはキライですが決して危害は加えませんよ ( いばって言うようなことでもない )。

で、「 うけつぐもの 」は今回もきっちり受け継がれてしまって終わるという何とも嫌な話なのですが、母親役の目黒真希が美しくて、かなり救われました。