『 死んでない 』 (2002・豪)

◆ アンデッド (2002年・オーストラリア)

 監督:ピーター&マイケル・スペリエッグ

 出演:フェリシティ・メイソン、ムンゴ・マッケイ、ロブ・ジェンキンス、リサ・カンニグハム 他

評価…★★☆☆☆

<あらすじ>

舞台は静かで平和な田舎町バークレー。ある晴れた日の午後、突如それは始まった。まず、町中に大量の小隕石が降り注いだ。拳程度の大きさで凄い勢いで降ってきたそれらの隕石は、戸外にいた町民を直撃し、その多くの人々が何が起こったかもわからないまま身体の一部を撃ち抜かれて死んでいった。

思いがけない惨劇に町はパニックになるが、本当の惨劇はここからだった。隕石により死亡したはずの人々が破損した身体はそのままに続々と蘇り始めたのだ。そして、動き出した彼らは明らかに今までとは違う何者かになっていた。知性と人間性を失い、凶暴になった彼らは生きている人間を襲い始めたのだ。そして、彼らに襲われて命を落とした人々もまた同様の変貌を遂げて蘇る。町はあっという間に化け物だらけになった。

ちょうどこの惨劇が始まった時に町を出ようとしていたレネは、隕石が落ちたことも、それに続く惨劇も知らず、うかつに事故車両に近づき変貌した町民たちに襲われるが、通りかかった男に救われる。改造銃を持ったその男は町では評判の変わり者・マリオンだった。恐怖と混乱でパニックになりながら事情を聞くレネに、彼は 「 この世の終わりが来たんだ 」と告げて去って行く。残されたレネは、どうすることもできずにいたが、結局安全を求めて彼の家へと逃げ込む。マリオンは銃砲具店を経営していたので武器はたくさんあるし、場所も町の外れにあるので、この家にいればかなり安全性は高い。どうも、彼は今起こっていることをある程度予期していたらしい。

やがて、そこに同じく化け物どもから逃れてきた警官のモリーと彼女の上司のハリソン、そして、ごく小規模な航空会社に勤めるウェインと恋人のサリアンヌも逃げ込んでくる。彼らを追ってやってきた連中に銃で応戦するが何しろ数が多く埒が明かない。彼らは何とかその場から逃げ出すことに成功し、車で町から脱出することにするが、そこでまた驚くべき事態に直面する。一体、ここバークレーで何が起こっているのか?


凄いなぁ、久々にこんな駄作を見たよ。テンポは悪いし、俳優は魅力ないのに妙に登場人物多いし、ストーリーは意味不明だし、突出した見所もないのにやたらと長いし、映像も作りもチャチ。そして、サービスシーンもなく、ホラーやゾンビへの愛も感じられない。間然するところのない見事な駄作だ。

でも、オチはちょっと笑ってしまったので、Z級に入れてあげてもいいかもしれない^^; 全体的にはバカ映画ってわけじゃないんだけど、あのオチのためだけに作ってたんだったら素晴らしいバカ映画だ。

あ、ちなみにホラーのようだけどベースはSFみたいです。ジャンルミックスとはちょっと違う感じがしますが。つーか、この映画、ゾンビになる意味が全然わかんねぇんだよな(-"-#) 

※以下ネタバレ有り※

もう見始めて5分もせずにこれは駄作だろうと思ったのですが、案の定でした。途中で見てるのがかなり苦痛になりましたよ。いやぁ、参った参った(*_*) むやみやたらな場面転換に無意味なストーリー、無意味な描写、意味のわからない行動をとり、魅力に欠けるだけでなく怒りを感じさせるような性格の登場人物たち、お粗末なグロ要素。そして、ムダに長い。このジャンルで105分は仮に面白くても長過ぎだよ。低予算ならもっと上手に金遣えよな。

目玉のひとつであるゾンビが割と正統派なのはいいんだけど、若くても子供でもゾンビになったとたん顔が凄く変わるのは頂けない ( あの顔の元ネタは何の映画だったっけ… ) し、動きがトロい割に力があり過ぎ。あと脳みそを食おうとしてることにいつの間にかなってるけど、たまたま一人食っただけじゃねーか。バタリアン要素持ち込んだつもりか? ああ、そういえば手だけで動いてたり、下半身から背骨だけ突き立たせて歩き回ったりしてたから、かなり意識してんのかな…。

しかし、このゾンビは噛んでも感染しないっぽいのだが、それはどうなんだろう?私の見る限りでは噛んだ故ではなく、食い殺された故に変貌したっぽい。まぁ、うまく描けてないだけなのかもしれないけど。でも、作中人物はみんな当然のことのように「 ゾンビ 」って言ってるくせに、頭にダメージを与えればいいというのを知らないし気付かないのはおかしい。

なんというかねぇ、全体的に冗談を言ってるつもりなんだけど上手く言えてない感じ。そういうシーンや要素がやたらにある。すべってるというところにも達してない。ああ、この人面白いこと言おうとしてるんだろうなぁとか、今面白いこと言ったつもりなんだろうなってのはわかるんだけど、それがどこでどう提示されてるのかがわからないんだよ。さっきの背骨突き出した下半身だけゾンビとかも普通なら面白いと思うんだけど、この映画の場合は不思議なくらいつまんなかった。しかもさー、本人は気に入ってるみたいで二回も出すのよ。同じヤツが出たならともかく、違うヤツが同パターンでって、そもそもウケてないのに最悪。

うーん、何か面白くないことを一生懸命語っても時間のムダだよね。それに今回は別に怒ってるわけでもないので、いかにこれがつまらないかを訴える気もないのだ。まぁ、既につらつら書いてしまったが。

オチ以外で唯一面白かったのは、エイリアンが出す謎の光線で天に昇っていった=円盤に連れて行かれたのだろうと思っていた人々が、上空にびっしり浮いてたこと。しかも、みんな、昇天すると時のお決まりのポーズ( 顔をやや上に向けて、両脚をそろえて手は身体から少し離して下げてるあれ )で^^; 町中の人がいるので、まぁ、上空の混んでること(笑) それをやむなく自家用飛行機で跳ね飛ばしながら飛ぶ青年がいと哀れでしたな。

で、問題のオチなんすけど、実はこれ、このつまんない映画をずっと、しかも割とマジメに見てないと面白さがわかんないんですよねぇ(T_T) うーん、やむを得ん。少し説明しましょう(-"-;)

んーと、ヒロインは亡くなった両親から大きな農場を受け継いで、ひとりで頑張ってたんですが経営不振だったんですね。それで、賞金目当てに出た町主催のミスコンで優勝し、ミス・バークレーになってしまうんです。ギョロ目で無口で愛想のない頭の回転も鈍そうなねえちゃんなんですが。スタイルも良くないし。胸はそこそこあるけど凄く寄せて上げてるしな。農場の娘という素朴な感じもないし。

でも、そうまでしてお金を作ったのに農場は負債のかたに人手に渡ってしまい、やむなくミスコンの時に声をかけられたスカウトマンと共に都会に出ようとしていたところに事件が起こったんです。で、ミス候補の本命だったらしい友人( 今にも生まれそうなハラボテなんで、このせいで落選したのかヒロインに負けたんだか分からないんだが、とにかくヒロインを快く思っていない )が彼女を非難するんです。 「 ミス・バークレーは町のために尽くさなくちゃいけないのに町を出て行くなんて! 」 。 

その後なんだかんだあって、一旦平和を取り戻したかと思った町はまたゾンビだらけになってしまうんですが、これは取りこぼしから発生した事態なので、エイリアンは助けに来てくれない。で、結局ヒロインは連中を自分の農場に押し込めて、またエイリアンが来るまで外界に出て行かないように管理するんです。そして、ミリタリーなファッションの彼女が独白。 「 これが私の使命なのだ。ミス・バークレーの使命は町のために尽くすことなのだから 」( 大意です )。 ちゃんちゃん。

いや、大して面白くなくて、むしろ脱力系のオチで、突っ込みどころはメチャメチャあるんですけど、こう来るとは想定してなかったので、ほほうと^^; 私は一応「 ほう 」と思ったものは評価することにしているのです( 甘いか? ) 。 でも、物凄い駄作であることには変わりないけどね。

…と散々に批判してきたこの作品、DVDの特典映像をチラ見した限りでは市場評価は意外に高いのね(@_@;) 

監督たちもゾンビやホラー大好きみたいだし。なのに何故私にはこんなにダメなんだろう?ジェネレーションギャップ? って、一応同世代なんだけどなぁ。確かに色んな作品を意識してるのはわかるけど、何かツボが違うというか…。ああ、ベースがSFなところがムカつくのかしら?人間がゾンビになる要素として、隕石だの宇宙からの謎の物質だのを用いるのはいいけど、宇宙人をそのまま出すってのは違うだろうと。しかも、意図不明なまんまだし。私もSFもホラーも好きだけど、この映画はどちらも半端な出来で、それらの要素がうまく融合してないから不快さを感じるんだろうな、きっと。いや、でも、SFだって気付く前からやっぱり面白くなかったよなぁ…(-"-;) まぁ、まだ若手だから次回作を待つかなぁ。何と言っても、あの 『 ブレインデッド 』 を産んだキウイホラー界ですしね(笑)

ちなみに兄弟監督と言われてますが、正確には双子監督なんですねー。びっくり。しかも、なかなかキュートなルックスです。あ、決してそれで評価を甘くしたわけではありません^^; 

ああ、そういえばこの題名、最初見た時はインチキ臭い言い換えだなぁって思ったんですが、実は作品内容にちゃんと合致してるんですね。宇宙人のよくわからない意図により一旦ゾンビみたいな状態になっていた人々は皆、その後に生命の水みたいな雨によって癒されて元に戻るので、『 Living Dead 』 じゃなくて 『 Undead =死んでない 』 。 まぁ、だから何って感じもしますが。