『黒鷺死体宅配便』山崎 峰水(原作:大塚 英志)

◆ 黒鷺死体宅配便  原作:大塚 英志/漫画:山崎 峰水 (角川ホラー文庫) ¥500

 評価…★★★☆☆

<作品紹介>

仏教に特に興味も関係もないのに仏教大学に通っている学生5人。実は彼らにはそれぞれ人とは違う能力があった。死体写真を集めるのが趣味でインターネット関連の技術と情報収集に長けている佐々木、エンバーミングの資格をもつ槙野、宇宙人と交信できる谷田、死体をダウジングできる沼田、そして、死体に触ることによって死体と話せる唐津。現実的な能力と超自然的な能力だが、どれも死体がらみだ。

そんな彼らはある事件でちょっとした金を手に入れ、それを元手に自分たちの才能を生かせる会社を設立する。それが 「 黒鷺死体宅配便 」 だ。沼田の能力で死体を見つけ、唐津がその声を聞き、望みがあれば報酬とひきかえに叶えるというのが基本コンセプトの会社だ。その業務内容で何故社名に「 宅配 」がつくかというと、依頼人である死体は自分では動けないからである。


2巻を買ったので、とり急ぎ1巻を紹介^^;

キャラクター設定とネタは面白くて魅力的なんだけど、それを生かしきれてない感がある作品です。

まぁ、これは漫画家さんの問題なんでしょうなぁ。この人の絵って一見上手いんだけど実は結構下手なんだよね…。全身描かせるとひどい。顔は結構いけるんだけど表情が硬いし。基本的な画力に欠けるんだろうなぁ。画面構成もいまいちだし。だから、下手なお芝居を見てるような感じでお話の本当の面白さが伝わらないのね。もっと絵が下手でも圧倒的に面白い場合もあるんだけど、そこが原作付きの悲しさかなぁ。…と、凄く貶しているようですが、私はこの人の絵キライじゃないです^^;

お話の方は、1巻では、設定がちょっと複雑な痴情のもつれ系、現代の姥捨て山考、猟奇殺人犯、ある特殊技能による連続保険金殺人とバラエティに富んだ内容で、グロ描写も多めで、なかなか面白いです。

個人的には保険金殺人のお話が面白かったな。凄い能力をもつ人が登場するんですよ。これまためちゃくちゃな設定だけど^^;

そう言えば、超自然的な能力を持つメンバーについても、現実的な能力を持つメンバーについても、その背景の説明とか能力の解明とかは今のところ全然ないんですが、まぁ、それはマンガなのでやむないかなぁと思います。情報量に限りがありますからね。多分、徐々に明らかにされていったりするのだろうと思っています。

しかし、それぞれの能力の無茶さ加減は別にいいとしても、黒鷺死体宅配便のコンセプトには物凄くムリがありますよねぇ。依頼人が物凄く少ない上に報酬が保証されないでしょう。死体はそうそう落ちてないし、落ちてても望みがあるとは限らないし、仮にあったとしても死体には報酬を払う手段も能力も普通はないし。生者から金をとる仕組みにしないとビジネスとしては成り立たないと思いますがね。

(初読2006年3月)