『池波正太郎の食まんだら』 佐藤 隆介

◆ 池波正太郎の食まんだら 佐藤 隆介 (新潮文庫) ¥460  評価…★★★☆☆ <作品紹介> 先生は、たとえ一杯のラーメンであっても死ぬ気で食べていた──。美味を貪らず、しかし毎日の一食一食を大事にした作家は、食通でもなく、グルメでもない、本物の「食道楽」だった。池波正太郎の書生を十年間つとめた著者が、亡師が愛したゆかりの店や宿を再訪し、あの味の「今」を亡師へ報告。師から学んだ食の作法をさまざまな思い出とともに案内する。『池波正太郎への手紙』改題。 (文庫裏表紙紹介文) 本書はこれ以上とりたてて説明の必要はないですよね^^; 池波正太郎好きの方も、そうでない単なる懐古趣味な食べ物話好きの人も、気楽に楽しめる一冊だと思います。私は本書で初めて接した著者の文章や何かがちょっと苦手でしたが、好きな分野なのでまぁ楽しく読めました。地方ではそうそう体験できない江戸と東京の食文化(特に蕎麦と蕎麦前!)は、やはり魅力的です。 それと、何だかんだ言っても、本書で紹介されているお店の大半は、庶民がそう気軽に行ける店ではない(本書中ではほとんど明記されてませんが、価格や席数など色々な点から。私の知る限りですが)と思いますが、蕎麦屋や甘味処などでは敷居の低いお店も登場してます。私のおすすめは「 まつや 」(蕎麦)と「 梅園 」(甘味)ですね^^(って、これ以外は数店しか行ったことないんですけど…) 両者とも席数もあるし値段もお手頃です。「梅園」は店頭販売もあって、豆かん、みつまめ、豆大福、塩大福等が私のお気に入りですが、どれも甘過ぎず美味です^^
ここからちょっと忌憚のない意見を述べますm(_ _)m 時代小説好き食べ物話好きの私としては、やはり池波正太郎は特別な存在だったりするのですが、池波正太郎原理主義というほどではないので、ご本人が書いたのではない本書を買うのにはためらいがあったんですよね。 で、やはり予感的中です。この著者(寡聞にして全く存じ上げない方なのですが)がどうも好きになれない…(T_T) 性の合わない年配の男性の随筆を読む際に、しばしば感じるイライラやムカムカが其処彼処に(-"-;)  具体的に嫌な部分も色々あるんですが、文章自体も好きじゃない。特に「( 呵々 )」が目障りで、最後の方では腹が立ってきました。まぁ、我々の多用する「 (笑) 」とか顔文字の類も許せないと思う方々は大勢いらっしゃるでしょうけど、それとはちょっと違うと思うのですよ(-"-;) それと、紹介のところでちょっと触れてますが、お店についての詳しい情報は余りないので、グルメ本的には使いづらいと思います(そんな人はいないのかな?でも、私は平均的な価格くらいは知りたいなぁ)。でも一応、巻末に登場店舗の連絡先は記載されてます。 正直言うと、池波氏自身の随筆も読んでると、え~?って思うことがあるんですよね。これは年代と性別の相違から生じる如何ともしがたい部分が多いですが、そうでなく単に好みが合わないこともあります。でも、やはり池波氏にはそれを上回る人間的な魅力があるんですよね。そして、何よりも文章が上手いから気障りなことを書いてあったとしても、さほど気にならないで読めてしまうんです。これは大きいですねぇ。 ああ、それにしても蕎麦屋で昼酒したい…。