『ブギーマン』 (2005・米)

ブギーマン (2005年・アメリカ)

 監督:スティーブン・ケイ/製作:サム・ライミ、ロブ・タパート

 出演:バリー・ワトソン、エミリー・デシャネル、トリー・マセット 他

 評価…★★☆☆☆

<あらすじ>

雑誌社に勤めるティムは仕事も有能で美人の恋人がいて、一見何の悩みもないような生活を送っていた。しかし、実は彼にはトラウマがあった。8歳の時に父親が突然いなくなったのだ。そして、対外的には失踪したということになっているが、彼は目の前で父親がブギーマンにクローゼットに引きずり込まれるのを見たのだった。

事件以降、周囲からは変な目で見られ、母親との関係も気まずくなり、故郷を離れて生活を送っていたティムだったが、初めて恋人・ジェシカの家族に会いに彼女の実家へ行くという日に、何故か今までにない胸騒ぎを感じ、母に会わねばならない思いにかられ、帰郷の準備を始める。そこに母の訃報が入る。決意はわずかに遅かったのだ。しかし、もちろん母が亡くなったとあっては帰らないわけには行かない。母の葬儀やそれにまつわる様々なことを済ませたティムは、意を決して忌まわしい思い出のある実家へと泊まることにする。そこで彼を待っていたのは…。


※以下ネタバレ有り※

評価低めにしちゃいましたが、サム・ライミの名前がなかったら、それほどがっかりはしなかったかなぁと思ったりもします。主演の俳優はキュートだし、女性陣もなかなか魅力的だし、ブギーマンには普遍的に訴えかける恐怖感があって、全体の雰囲気は悪くはないんですよ。

でも、いずれにしても、私の好きなタイプの映画ではないですね。無意味な( と私には思える^^; )人間ドラマが挿入されて、会話が少なくて、妄想だか現実だかわからなくて。登場人物の性格付けとか設定もちょっとよくわからないし。特にジェシカは何なんだろう。彼女はイヤな女のような、かわいい恋人のような変な言動をとって、意味ありげなのに無意味な死を遂げるのですよね。かわいそうなようなそうでないような…(*_*)

まぁ、あのバスタブでブギーマンに襲われてるシーンは面白かったけど(お湯がだんだん濁って泥水のようになってブギーマンになる…みたいな。ヤツはほんとの意味の暗闇じゃなくても、ダークなものになら何でもなれるのだろうか?)。でも、彼女が死んでラストシーンはケイトとってものどうかなぁ。そもそも、ケイトとティムの関係もよくわからないんですが、どうも単なる幼馴染に過ぎない感じだし。

あ、冒頭のティムの子供時代に父親がブギーマンにクローゼットに引きずり込まれるシーンは良かったなぁ。ずっとあの感じだったら良かったのに。あと、ブギーマンの被害者かと思われる子供達の霊にティムが囲まれるシーンは怖かったけど、ちょっと滑稽でもあった。あれは人数多すぎだって^^;

それと、ブギーマンと彼に関わっている(狙われている?)者は、クローゼットからクローゼットへテレポートできるというのが面白かった。同じ建物内とかだけでなくて、かなり離れた場所でもできるんですよ。

何かこんな感じで結構面白いネタが散りばめられてるんですよねぇ。でも、敢えてそれを使わず抑え目に撮ってるんだろうなぁ。それが効果的かどうかはちょっと疑問ですが。全体にちょっと前の時代の正統派怪談って感じがします。オチや説明がないのはアメリカっぽくなくて欧州調だなと思いますが。

ちなみに私はその類は苦手なんですが、本作は全体に幻想的な雰囲気が漂っていて、現実と妄想の境目が明らかじゃない感じなので、そんなに気にならなかったですね。こういう雰囲気のホラーが好きな人にはかなり受ける作品なのかもしれません。

でも、『死霊のはらわた』シリーズや『ハロウィン』のブギーマンのイメージを期待して見た人は凄くがっかりするのでしょうね^^;