『グシャノビンヅメ』 (2003・日)

グシャノビンヅメ (2003年・日本)

 監督:山口洋輝/出演:桐野ゆき、辻岡正人、税所伊久磨 他

 評価…★★★★★

<あらすじ>

舞台は近未来の日本らしき国。「監視局」という組織に支配されるこの国は超高層の巨大な建物から成っており、住民はその属性ごとに各階層に分けられていた。たとえば、企業社宅と独身寮の街の階層、化学実験と研究者の街の階層という風に。そこには貧民と精神病者の街の階層、囚人と監獄の街の階層まであり、その国の全てがわかりやすく階層に分けられ詰め込まれているのだ。

人々は各階層を移動するのにエレベーターのような乗り物を利用する。当然、その中には国中の様々な階層、様々な種類の人間が乗り合わせることになる。

ある日、藤崎ルキノ学校へ行こうと例の乗り物に乗った。いつものように雑多な人々が乗り降りする中、監視局からの要請で高速運転を途中停止し99階層から人が乗り込むことになる。そこは囚人と監獄の階層で乗り込んできたのは凶悪な犯罪者とそれを護送する刑務官だった。見るからに恐ろしげな二人と新米らしい刑務官を前に不安げな乗客たち。そして惨劇の幕は上がった。


※今回画像も商品リンクも無しですみませんm(_ _)m  DVDは出てるようですがパッケージのイメージがビデオと違いすぎるので。 題名のリンクは作品の公式HPに貼ってます。

いやー、すっごい面白かったです! パッケージの画と題名、そして「監督はあの北村龍平を輩出したインディーズムービーフェスティバルグランプリ受賞者」という文に惹かれて借りたものの正直期待してませんでした。邦画が余り好きではないのとこういうカタカナの題名つけるセンスがちょっととか思って。

ところがどっこい久々の大当たりでした! 始めの方のいかにもな近未来風景にセーラー服のヒロインの登場であちゃーと思ったのですが、エレベーターに乗ってからは目を離せなくなりました。

※以下ネタバレ有り※

階層ごとに階級が分かれてるというのもありがちなSF設定ですが、分け方がちょっと違うのもあり映像で見ると意外に面白い。企業と独身寮の階層からはクローンみたいなサラリーマンがごそっと乗ってきて一斉に電話をし始め(何故か昔懐かし黒電話でしたが)またごそっと降りて行くシーンとかベタですけど結構よかった。

そして、囚人が乗り込んでくるところから俄然面白くなります。ちょっと類型的な感じの異常者風貌のちっちゃい方(どうやら連続強姦殺人魔らしい)が凄く嫌な感じで良い。パッケージ写真の彼に惹かれた部分が結構大きかったので期待通りの活躍をしてくれて嬉しかったわ。 行動は期待した程ひどくなかったけど表情がすごくイッてる感じでよかった。同じくイッてる顔のルキノちゃんと好一対(笑)

題名的にもっとサイコな感じなのかと思ってたのでこんな文字通りの出血大サービスがあるとは予想してなかったので余計盛り上がりました。鬼畜心わしづかみです(笑) あ、でもそういうわけだから心理サスペンスとかSFを求めている人、血のりやグロが苦手な人には不向きかも。必要以上にそのテのシーンが多いです。私も赤ん坊ミイラは苦手です。

映像も小道具とか雰囲気があってなかなかいい感じですが、フラッシュバックがやたら入るのが私にはちょっとうるさい。そういう手法を否定はしないけど。

全体に色んな要素を詰め込み過ぎでありがちなイメージが多いという気はしますが、私は満足しました。

そんなわけで私の評価は非常に高いのですがいかんせんインディーズ映画。女優さんたちのルックスがイマイチ。主演のルキノちゃんは確かに強くていい顔をしてますが、それだけに普通にしていても病んでる感があるので、もう少しかわいいといいのにと思いながら見ていました。まぁこれは好みの問題かもしれませんが。

しかし、ずっとエレベーターの中で話が展開するせいかエレベーターガールのお姉さんは大してきれいじゃないけど凄く気に入ってしまいました。

現実のエレベーターガールよりもう少し知的て責任のある仕事のようで、ガイド兼操縦士のようなイメージですかね?声がかわいいのと立ち居振舞い、責任感の強さ、赤い制服のスリットのセクシーさに萌えました。なのに最後に流れ弾で死んじゃうのはひどすぎる。

で、オチは逆猿の惑星てな感じなのですが、あれは現実社会が地獄ってな風刺なんでしょうか? その他、精神感応はどこまで事実だったのかとか少々疑問はありますが、まぁそんなにストーリーに重きをおいてないんで別にいいか。

(※2005年8月鑑賞分。感想などは当時のもの)