『ウニバーサル・スタジオ』 北野 勇作

ウニバーサル・スタジオ  北野 勇作 (ハヤカワ文庫JA) ¥651  評価…★★☆☆☆ <作品紹介> ここはウニバーサル・スタジオ。大阪をテーマにした楽しいアトラクションがあなたをお待ちしています。巨大タコが襲う水上バスの刺激的なライド、四天王寺の亀の池ではカメ型メカとザリガニ型怪生物の痛快なバトル、通天閣からは軌道上イカリングへの魅惑のツアーにお連れします。そして、阪神タイガース優勝を祝しての道頓堀ダイブも心ゆくまでどうぞ。いや現実には、人類滅亡まで二度と優勝できなかったわけですが…。 (文庫裏紹介文)
うーん、『恐怖記録器』の時にも思ったんだけど(あ、まだ読書記録書いてないや…)、北野勇作氏はあんまり関西テイスト出さない方がいいんじゃないかなぁ…。『蛇腹と電気のダンス』 なんかはそこが逆に良かったんだけど、あれは短編だったからね。 イメージ的に面白いところや好きなところは多数あるんだけど、とにかく全体的に余りにもコテコテに関西すぎるのがキツイですねぇ。題名見た時から嫌な予感はしてたんだけど案の定でした(T_T) それと、私は何故かとある両生類が物凄く苦手なのですが、この作品にはヤツら(正確にはそのものじゃないけど)が頻出するところがちょっと…(-"-;) 「ケロリスト」 って言葉の響きは愉快ですが、原材料がヤツらの皮100%のフロッグコートを着て身も心もヤツになるっていうのが、もう…。 クローゼットの中にぎっしりつまったフロッグコートってつまりそれは…。ここらへん非常にしっかり描写されてるもんで、こちらも物凄くリアルに想像してしまい、ちょっと気分が悪くなりました(-"-;) そんな感じなので、北野氏独特の断片的な物語による重層構造みたいなものと、関西独特の感覚を併せて読み取って理解できる人じゃないとこの作品は楽しめないのではないかと思われますが、前者だけでも結構難しいのに後者が加わるとかなり厳しいですね。 私は関西のお笑い感覚には親和性はある方だと思いますし、ベタベタなダジャレも嫌いじゃない (何しろ田中啓文好きですからね^^;) んですが、関西的センスというか特有の感覚みたいなものはちょっと苦手なのと、前述の両生類の問題があって完全には楽しめませんでした。面白い設定なのに残念。 あ、関西のSFファンには超オススメの作品かもしれません^^;  ちなみに、私はウニバーサルスタジオのモデルであろう場所にもネズミランドのモデルであろう場所にも行ったことはないのですが、そういう実地的な基礎教養はなくても読むのに支障はありませんでした。念のため^^;