『襲撃者の夜』 ジャック・ケッチャム

襲撃者の夜 ジャック・ケッチャム/ 金子 浩 訳 (扶桑社文庫) ¥800  評価…★★★☆☆ <あらすじ> 北米東海岸メイン州の海岸沿いのリゾート地。ある夜、女性2人が残忍に殺され、赤ん坊が行方不明になった。11年前に同じ場所で起こった大惨劇に通じるものを感じた地元の警察は、その事件に実際に遭遇した元警官のピーターズの力を借り、総出で捜査を始めるが、その最中に早くも第二の惨劇が起こった。当然警官は全員出払っていてすぐには現場に向かえない。 かろうじて難を逃れたクレアとその息子ルーク、犯人達にさらわれたクレアの友人エイミーの赤ん坊メリッサを待っていた運命とは? (※文庫裏表紙紹介文を一部アレンジしました) ※以下ネタバレ有り
読書記録が余りに停滞しているので、読書順と記録が前後するのを気にせずにアップすることにしました。これは先週アタマに読んだもの。 さて、本題。 私が海外では最も愛する鬼畜系作家ジャック・ケッチャムの新作、しかも、その作品の中でも随一と思う『オフシーズン』の続編!過剰に期待したら裏切られると思いつつも、やっぱり期待しないわけにはいきませんよね。私は期待が大きい余り、この本を買ってから数ヶ月寝かせておいたくらいです。(いいコンディションで読みたいという気持ちからです) で、結果はというと、うーん、まぁまぁまぁってとこですね。やっぱり傑作の続編ってダメだなぁ。ケッチャムの場合はどれを読んでも素晴らしくて裏切られたことがなかったから、もしかして…とつい期待しちゃったんですが。いや、本作も悪くはないんですよ。前作が素晴らしすぎるだけで。でも、ふつうに鬼畜系とかホラー・サスペンス系として楽しむにしても今回は物足りないというのは否定できない事実ですね。死人もグロ描写も少ない。今回は赤ん坊と子供が出てくるからどうしようと思ったけど、心身共に全然無事だし(いや、私としては無事でいいんですけど、鬼畜系としてはどうかと)。しかも、ラストは、常にとてつもない後味の悪い小説を書くケッチャムとは思えないハッピーエンドだし。でも、ピーターズの救済のための作品と思えばそれもアリかなぁ。微妙だが。 まぁ、ケッチャムが好きでケッチャムを読みたい!とかケッチャム作品のことを噂に聞いてて、どんなもんだか読んでみたいとかいう人にはお勧めできないですなぁ。 ちなみに、これの前作は後味は悪いけどホラーとしては凄く良くできていて、絶対ムリだけど映画で見たいって感じの作りです。ストーリーも描写も良い。小説にもホラーにも人生にも相当経験積んでから読んだのですが、初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。 それ以外の作品は、ほとんどが二度と読み返したくないような最悪の読後感のものです。それがケッチャムです。ダメな人は全くダメだけど、好きな人はハマる。 鬼畜系としてのお勧めは、やっぱり 『隣の家の少女 』 かな。私、子供とか処女(ただし20代までね^^; 状況に応じては30代も認めるかも)が虐待や陵辱されるのって大っっっっっ嫌いなんですけど、これは最高峰。後味の悪さでは 『オンリー・チャイルド 』 か。もう、本を触りたくもないくらい嫌。 で、そんな作品を何故読み、何故その作家を最も愛すると言うのかは私にもよくわかりません。 今回、前作の内容に触れずにあっさり書いてみましたが、そのうち前作を紹介できたらしたいと思います。