『なつこ、孤島に囚われ。』 西澤 保彦

(2005年8月読了分。感想などは当時のもの)
なつこ、孤島に囚われ。なつこ、孤島に囚われ。  西澤 保彦 (祥伝社文庫) ¥400  評価…★★★☆☆ <あらすじ> ある日、異端の百合作家・森奈津子が目覚めるとそこはパラダイスだった。紺碧の海と白い砂浜に椰子の木、そして島の周囲は見渡す限り水平線。これが夢じゃないとすればどうやら昨夜出逢ったゴージャス美女に拉致、軟禁されたらしい。 しかし、用意されている住居・食料等全てが快適だしワープロを使って仕事もできるし、隣の島の建物には人もいるみたいだし、まぁ何とかなるでしょう、と奈津子はすっかりリラックスし孤島での軟禁生活を満喫していた。 そんなパラダイス生活も1週間目となった日、<アニキ島>と命名した隣島を双眼鏡で見てみると何か事件が起こっているようだ。やがて、警官が奈津子のもとにやってきた。なんと<アニキ島>で身元不明の男性の変死体が発見されたというのだ。 ともあれ警察が来たおかげで無事自宅に帰れた奈津子は、漫画家・野間美由紀とふたりで事件についてあれこれ推理をめぐらす。果たして事件の真相は?
もともと森奈津子さんのファンである私、本作の著者の『両性具有迷宮』を読んで衝撃を受け、そのパイロット版があると知って是非読みたく思っておりました。でも、5年前の企画物文庫なので店頭での入手困難でほとんど諦めていたのですが、某超大型書店で発見! で、喜び勇んで読んだのですが、やはりパイロット版。ちょっと物足りない感があります。でも、それは先に物凄ーく濃いー内容の『両性~』を読んでしまったせいでしょうね(^^;) 森奈津子に慣れてないない人にはじゅうぶん濃いかも。おなじみの性的妄想をはじめとして森奈津子調が実によくできていて楽しいのですが、彼女の作品を知らない人はどうなんだろう? ちなみにあらすじでもわかるように一応ミステリですがこの謎解きはちょっと反則な気もする。でも、耽美といえば耽美でちょっと谷崎潤一郎みたいかも(^^;)