『怪奇譚』 蜂巣 敦

(2005年8月読了分。感想などは当時のもの) 怪奇譚  蜂巣 敦 (ちくま文庫) ¥735  評価…★★★☆☆ <内容紹介> 空想の怪談から現実の殺人事件まで猟奇というフィールドに属する事柄について語ったエッセイ集。 高橋お伝、『冥途』(内田百間)と言った渋いところから「金属バット殺人」「手首ラーメン」等のちょい懐かしい現実の事件、疑惑のAV女優無理心中事件、未解決の茨城女子大生殺人事件、映画の紹介…と内容は多岐にわたっている。 『殺人現場を歩く』という著作のある著者らしく、実際に事件現場に行っての考察等が多く興味深い。
著者はアート系マニア誌『月光』編集部出身だそうで、本書の一篇目(『女怪の街』)にはその雰囲気が濃厚に出ていて正直ちょっとひきました。で、次は『冥途』でしょ、あちゃー、こりゃ失敗した?と思いましたよ。いや、百間先生は大好きなんですけど、わざわざ「実話」と謳ってるんだからこっちはそれらしいのを期待するじゃないですか。即物的な下賎な感じのヤツを。だまされた?って思いましたね^^; 読み進めていくうちにその心配は杞憂とわかりましたが、この掲載順絶対良くないと思います。最初の方を立ち読みしてたらきっと買わなかったよ。実際はライターさんらしい現場主義な感じもあり、なかなか面白い本なのにもったいないです。題名も微妙かな…。 実話系で書かれている事柄のほとんどはマニアなら当然知っているようなもので、そう目新しいことはなかったですが、いい感じにまとめられています。 その中で、瞠目させられたのが 『まるで無法地帯、北関東の事件』『すべて未解決、茨城で多発する女子学生殺人事件』 です。 内容は題名通りで、前者は北関東(群馬・栃木・茨城)で近年殺人事件や死体遺棄事件が多発していることについて、後者はその中でも茨城における女子学生殺人事件について述べたものなのですが、ほんとに凄いんですよ北関東。えらい頻度で死体が出てきてる。 それもほとんどの事件で被害者は女性。つまり色と欲がらみの事件が多いってことですね。痴情のもつれだけでなく、強姦殺人も相当数あるようなので強姦もきっと多いんだろうなぁ。怖いよ北関東。 そう思って読んでると、かの有名な小平義雄も大久保清も北関東出身だという記述が!しかも、小平の犯行は都内ですが大久保は群馬県内。当然知っていたことだけど、こういうふうに提示されると驚きますね。由緒正しいというか筋金入りというか。恐るべし北関東。 大都会に近接する草深い田舎という立地条件がそうさせるんでしょうが、自然豊かで心癒される土地だとか思ってたところがどこに死体があるかわからない土地になってしまったというショックは大きいですね。 後者で扱われている事件は2004年のものなので皆さんも記憶にあるのでは? 女子大生の方は報道されてるだけでも妙な点が多く、私も結構気になって報道をチェックした記憶があります。 これらのテーマで掘り下げて一冊書いて欲しいなぁ。 ※北関東という土地において犯罪が頻出しているという事実とそれについての感想を述べているだけで、そこに在住・勤務・通学等する方々を誹謗しているわけではありません。 念のため。 百鬼園先生の「ケン」がやっぱり文字化けするので「間」で代用しています(T_T)  本当は門構えの中は月です。